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宇宙にいる美少女たちはお茶をしながら落下していく


 投げ出された宇宙から見た逆さまの大街頭には時々横に飛び出した突起棒。

 そこに、有名な歌手の顔写真と近々のライブ情報。

 そこかしこに散らばっている無重力状態の茶器や本。

 アリスはさかさまの状態で上質な紅茶の水玉の噛んで飲んで、本をめくってみた。


「ほうほう」


 意識して回転してみると、逆さが戻ってドレスのスカートが傘のように開いた。


「イヤだわ。すぐ下にひとがいたらどうしよう・・・」


「おっさきぃ」

 縞々模様のニ―ハイソックスの子がいつの間にか隣にいた。

 気づけば、ちらほらと誰かたち。

 紅茶カップで乾杯をするとぐいっと飲み干して、何かの儀式なのかと思った。

 ゴシックロリータでパンクなファッションの少女たちが、アリスより先に落ちていく。


「例の有名人のライブの件かしら?」

 小さな傘を差している子が言った。

「先に並ぶのよ~」

 薔薇の花が付いた小さな装飾シルクハットの子が言った。

「お迎えよ~ん」


「ふぅん・・・」


 アリスがそうぼやくと、落書きされているポスターをひきちぎった少女が言った。

「じゃーねーん」

 なんとなく手を振る。


 数秒の間。


 そしてアリスは思い出す。

「ああ、そうだわ。イコール・・・イコールっ、いる~?」

 耳元でイコールの声。

「いなーいよ」


 声のしたそこに、イコールはいない。


「ああ、いないのね。いない、って言ってるんだからいないのかしら?」


 しばらく待ってみても返事がないので、いるのかいないのか分からないまま着地。


 そこは空港で、職員の制服を着ているひとがひとだかりを指さした。

 ゴシックロリータの格好をした少女たちの群れが、何かを誰かを囲っている。

 近づいてみると、そこには木製の、普通は書斎にあるデスクがあった。

 その書斎机に、イコールが座っていた。


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