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不思議の国のアリス
「アリス、アリス、起きなさい」
「ん・・・」
机に伏していたアリスは、眠い目をこすって、自分を呼んだ母を見た。
「お姉さま?」
「まぁ、ねぼすけさん。もうすぐお客様が見えますよ」
「ああ、お母様・・・・・・不思議な夢を見ました」
「どういう夢?」
「なんというか・・・そう、本になりそうなお話でした」
「あら、どういうものなのかしら?」
アリスは小さくかぶりを振った。
「まだ感覚でしかなくて、うまく説明できそうにありません」
「そう・・・」
「すぐに準備します」
「はいはい」
母が退室すると、アリス・プレザンス・リデルは深いため息を吐いた。
机の上のメモに、『不思議の国のアリス』と書いてある。
側にあるのは、アインシュタインの『相対性理論』という本だ。
「理解するのに時間がかかる・・・もしかしたら、理解したらいけないのかも」
夢から覚めたアリスは、ルイスと言う友人とのお茶のために椅子から立ち上がった。