夢から醒めた夢
「アリス・・・アリス・・・」
「ダイナ?」
「なんだ、にゃー?」
驚いて目をさまし身体を起こすと、そこは自室。
ソファに横になっていて、側にはイコールと執事がいる。
「今、誰がしゃべったの?」
「わたくしめが、少しふざけてみました」
そう言ったのは、執事だった。
「ああ、なんだ・・・もうっ」
イコールと執事は少し笑う。
「不思議な夢を見た」
「イコールもなの?」
「どうやら一緒に眠っていたみたいだ。今起きた」
「本当に不思議な夢だったわ・・・」
めまいがして、軽く頭を押さえるアリス。
「おかしな夢を見たのは、君が渡したこの薬のせいか?」
イコールが執事に向かって、少し硬い声で言った。
「おそらくそうです」
アリスはイコールと執事、両方を交互に見た。
「この薬はなに?」
「新薬の残りです」
「なんだって?」
執事はスーツの内側から、銃を取り出し、そしてイコールに銃口を向けた。
「やめてっ。どういう意味っ?」
引き金を引く執事。
大きな音を想像して、思わず目をつぶるアリス。
そしてゆっくりと目を開いて状況を確認しようとした。
銃の先から、小さな火が出ている。
そして執事は、その火で煙草を吸い始めた。
紫煙を吐く。
「さて・・・そろそろパティ―が始まる時間です」
「冗談がすぎるぞ」
「欠けている面で、多大な評価をされているのです。生きるのにはふさわしい、と」
「今更なんだ」
「ご覧いただきたいものがあるのです」
執事は、耳につけた鍵のイヤリングを示した。
―――
―――――・・・
アリスとイコールは、黙って執事のあとに付いて行った。
「ここから先には、行けないはずよ?」
「その部屋への鍵を、やっと盗みだすことができました」
執事はカード型の鍵を機械に通すと、開きだした壁の扉にうすら笑いを浮かべた。
そこに見えたのは、管制室だ。
アリスは呆然としている。
イコールが、つないだ手をぎゅっと握ってくれた。
「アリス、大丈夫だ。心配ない」
ずんずんと進み少し遠くにいる執事は、少し笑い声をあげた。
執事は、両手を広げてアリスに言った。
「さぁ、目覚めるのですっ」