ナホが見つけたのは
「ルー君!!」
「エメラ!」
飛んだ先で真っ先に見たのは、エメラがルミナスに抱きつく場面だった。
「心配しておりました!! 急にどこかに行ってしまわれて、連絡もなく……」
えっぐえっぐと泣きべそをかきながらエメラはルミナスにぎゅっと抱きつく。あー、可愛い。いいなぁ。うんうん。これは、ルミナスもいちころよね!
ユウがついでに運んでおいたよとアピールしていた。
「ごめんね、エメラ。もう大丈夫だよ」
優しく背に手を回してぽんぽんとしてあげていた。と、思ったら目の前ででこちゅーしていた!! 王子様のキスだ!!
魔法の効果は抜群だったようで、泣いていたエメラが赤くなり笑っていた。
いいな、付き合い始めたばかりの可愛いカップルみたい。
「ルミナス」
「はいはい、メイラも」
うぁぁぁ、目が、目がぁぁぁ!!
眩しい光魔法をくらった気分にさせられて、つい、半分指で隠しながらその光景を眺める。
ま、眩しい!
「いいなぁ、私もこの世界に生まれたら良かったのに」
「へ?」
「だって、男の人にお嫁さんいっぱいいてもいいんだよね……。なら、私もエリナちゃんと一緒にお嫁さんにして下さいって言えたのに。それでさ、友達同士でさ、ずっと一緒に仲良く暮らせるでしょ……」
「いやいや、ナホ――? 何を言ってるの」
私には、あれは無理だよ。さすがに嫉妬すると思う。だって、私はやっぱり、お互いにたった一人の特別になりたい。
って、え? 私と一緒にお嫁さんって?
「エリナちゃんは、いいなぁ。何で、私じゃなかったんだろう…………」
チラリとアルテを見ながら、アナスタシアは私に視線を向ける。
「エリナちゃん、私ね……。むこうで好きな人が出来て、告白したんだ」
「うん」
「優しい感じで、少し年上の人。偶然、私が彼の落としたスマホを拾ったのが始まりだったの」
◆
「うん、うん。そうなの、今から持っていくから、エリナちゃん少し待っててもらっていいかな?」
『おっけー。じゃあ、終わったら、――、ちょっと、何?』
通話先のエリナちゃんが、慌てた声を出す。
『ごめんナホ、ちょっち、こっちも取り込むかもー!』
「え、大丈夫? 平気?」
『大丈夫、大丈夫。片付けたらそっちいくねー!』
プツリと通話終了された。何があったのかな? 大丈夫と言っていたから、私はメッセージだけいれておいた。
「さてと、持っていかないと」
自分のスマホを鞄にしまい、もう一つのスマホを手にとった。
先ほど、駅の構内で拾ったものだ。
人気の機種の限定カラーで、ストラップはとあるゲーム会社のロゴだった。親友エリナちゃんのスマホと同じ機種で、一瞬彼女のかなと思ったから、手にとってしまった。ただ、彼女のスマホはストラップをつけていなかったはず。
確かめるために、私は自分のスマホで彼女のスマホに連絡をいれると、持っているスマホは反応がなくて、エリナちゃんが電話にでた。
『なにー? ナホ。今どこ?』
「あ、ごめんね。実は――」
待ち合わせしていたから、拾ったスマホを届けてくる分、遅れると連絡をいれておいた。それがさっきの会話。
「誰の、なんだろう……」
拾った場所や、時間、お礼はどうするか等を聞かれ、面倒だなって思っていた時に、その人が私の前に現れたの。
「すみません! スマホ、届いてませんか? って、あっっ!!」
進学校で有名な高校の制服、きちんとした格好、眼鏡から覗く誠実で優しそうな瞳。一瞬で私は彼から目が離せなくなった。
「ありがとう、助かりました」
「あ、いえ。本当に偶然で――」
たまたま友達の物だと思って拾った、彼のスマホ。だけど、これはきっと運命だったんだと思ったの。
だから、私は同じ路線だし、降りた場所もきっと同じ。なら、また会えると思って、探して、見つけた。
なのに、その人は、――。
◆
「好きです」
何度かすれ違い、偶然じゃないって、思ったの。むこうも私を探してくれていたんじゃないかって。
「あ、その、…………すみません」
私の告白は、あっさりと断られた。
「俺、君とよく一緒にいる人が……、好きで――」
何を言っているの? この人は、何で私じゃなくて…………。
ここでよく一緒にいる人なんて、エリナちゃんしかいない……。
あなたは、私じゃなくて、エリナちゃんを見ていたの?
「そう……ですか……。失礼します」
ペコリとお辞儀をして、私は振り返らずにその場から走って逃げた。
何で、何で? 私が運命じゃなかったの? あの出会いは、神様が私と彼を会わせる為に用意したものじゃなかったの? もし、彼がエリナちゃんに告白して、成功したら……。でも、彼女は確か好きな人がいたはず。そうだ、上手くいかないよね。その後、もう一度彼に……。
◆
「え、別れてきた?」
付き合い始めた報告をしてきたばかりの彼と、いきなり喧嘩別れしたと、エリナちゃんから聞かされる。
「そうなの! アイツ、私のことさ、全然――」
そんな、このままじゃ、好きな人が、親友と、私の目の前で?
「ナホぉぉ、聞いてるー? だからさ、もう当分恋なんて――」
私は心の中で願ってしまった。そんなの見たくないって。
「聞いてるよ、エリナちゃん。そうだ、今度さ、――」




