咎人
「罪人エリーナ、そろそろ目を開けませんか?」
「――えっ…………」
目が覚めると、冷たい床の上に転がされていた。
ただ、最低限の敷物はあったけれど。
「ここは? 罪人……?」
声の主を見ると、そこに立つのは見習い騎士のアレン。
「目が覚めましたか……、それでは参りましょう。すぐに始まりますよ」
「始まる? 何が……?」
私の手には木の枷がはまり、それの中央は鎖で繋がれている。
「立ってください」
何が何かわからないまま立ち上がらせられ、アレンの後を必死に追いかける。
皆は? アルテはどこ?
「あの、アレンさ――」
話しかけようとするとぎろりとアレンに睨まれた。ただ、その瞳には光がない。これって――。
アルテにかけられた魅了の魔法と同じ…………。それじゃあ、話しかけても、意味がないのかもしれない。彼女の声しか、届かない?
彼にはアルテの時のように、腕輪を渡すなんて出来ない。この枷が邪魔で、髪飾りも……。
ここは……。
連れてこられたのは、階段や、二階から見下ろせる客席がある大きな部屋。なんとなく見覚えがある。ゲームでダンスやパーティーなんかをするための大ホールだ。
「これで全員か?」
「かと……」
王とクレスヘラ、そしてアナスタシアが壇上にいた。隣にはなぜかメイラも立っている。そうだ、メイラも魔法を……。
壇上に向かってルミナスが頭を下げていた。彼の横に騎士が付いているが、護衛ではなさそう。
私はルミナスと少し距離をおいた、同じような場所に立たされる。
「エリーナ嬢、いや、偽物だったな。お前がエリーナ嬢に成りすまし、この国を混乱させようとしたということで間違いはないか?」
一目で父親だとわかるアルベルトによく似た王の顔が厳しくなる。
「……あ……の……」
「利己的な願いのために、我が子、アルベルトに嫌われるように仕向け、本物のエリーナ嬢の立場を奪い、神聖の乙女アナスタシアを陥れ、レースでは、魔法を使って妨害し、我が国からメイラを奪った。その罪、軽くはないぞ」
一部誤解だけどほぼ正解で何と言えばいいのかわからない。
「まったく、メイラもとんだ婚約者をつかんでしまった――。まさか、婚約してすぐに、別の女とも婚約するような男とは……」
もしかして、それでルミナスは頭を下げさせられてるの?
「アルベルトはなぜ見抜けなかったのか……。危うく、神聖の乙女がこの国から消えるところだった。それに比べ、クレスヘラはよくやった。お前の目は確かだったようだな。次代はやはり、クレス、お前に――」
え、これって、クレスヘラルート? アナスタシアはクレスヘラを選んだってこと?
あー、っていうか、さっきからこの人、黙って聞いてたら言いたい放題! 私だって好き好んでこんなとこにいないってーっ!!
ぶっちゃけてやろうかと思った時だった。
「陛下!!」
話題沸騰中のその人が、いいタイミングで入ってきた。




