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私の宝物を探して~返してよ?それは私のものだから!~  作者: 花月夜れん
後編

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ピンチです?

「あれ、えっと……」

「エリーナ」


 私はいまとてつもないピンチ(不幸)に陥っているのではないだろうか。

 目の前には、どう見ても間違いようがない王子様(アルベルト)。息を感じる位の距離にいる。というか、彼の両腕で囲われてる。壁ドンならぬ、崖ドン? 何て言うんだ、これ。


「あの、あの……」


 先ほど三人でダンジョンに入り、いきなり大型モンスターがでたから手を離して戦っていたのよね。そしたら、今まで見たことないような光が足元から現れて、気がついたらここにいて、それで。


「会いたかった……」


 今に至るんですが、何故あなたがここにいるんですか!!


「アルベルト様、私は」

「知っている。グリードから聞いている」


 知っている? 私のこと? 待って、何を聞いてるのかこっちはまったくわかりません!

 距離が近くなり、顔が、体が近づいてくる。


「ストップストップ、何するのぉぉ!?」


 と、言おうとしたら、口をぎゅっと押さえられた。

 むぐむぐ、何も言えません。

 アルベルトは、後ろを向きながら何かを探っているようだった。

 何分たっただろう。数秒だったかもしれない。

 急に、彼は手を離してくれて、私は解放された。


「僕の苦手な相手がうろついててね。少しだけ静かにしてもらえるかな」


 私はこくこくと頷いて、ぺたりとその場に座った。

 アルベルトも、ふっと笑いながら隣に腰を下ろした。


「本当に中身だけが違うとはなぁ」


 ポツリと彼は呟いた。


「本当のエリーナは、僕が嫌で君と入れ替わったのかな?」


 私は急いで首をふった。けれど、彼女の願いを知らないから、言葉は紡げない。


「ははは、ありがとう。僕がこんなに愚かだったなんて、知らなかったよ。エリーナに会えないだけで、いなくなって初めて大切さに気がつくとは」


 何だろう、自信に満ち溢れる彼とはまるで違う。こんな一面もあるんだ。

 ストーリーに興味がなかった私は、彼の表面しか知らないし、あまり深く考えたことなかった。

 でも、そうだ。一人の人間なら、いろいろ考えることあるよね……。


「あの、アルベルト様はここでいったい何を……」

「ん、気になるかい?」

「あ、いえ。別に」


 それよりは何を誰からどう聞いてるかが気になるな。

 彼は私の態度を見て、ぷっと吹き出した後、ははははと大きな声で笑いだした。


「君はエリーナと違ってはっきり言うんだね。僕に興味がないかぁ。女性にそんな風に言われるのは初めてだよ」

「そうでしょうね」


 こんなにカッコいいし、王子様だし、悪いところなんて……。たぶん、ないよね?


「君には悪いけれど、はやくエリーナを返して欲しいな」

「帰ってきたところで嫌われてたらどうするんです?」


 あ、なんだか、ズバズバ言葉が出てきてしまう。何でだろう。もう少し考えて言ってあげればいいのに。アルテと向き合う時みたいなドキドキがないからかな?


「んー、そうだね。エリーナに嫌われたら僕、立ち直れるかなぁ。でも、やっぱり本人から聞きたいな」


 そう言ってから、彼は立ち上がり、手を出してきた。


「それでは、違う世界からきたお姫様。貴女を仲間のところへとエスコートさせていただきます」

「私、お姫様なんかじゃ……」


 にこやかに笑う彼の手をとり、立ち上がる。


「では、君の名前は?」

「エリナです」


 名前を聞いた後、アルベルトは少し驚いていたけれどまた微笑んだ。ゲームのヒーローらしい、優しい最高の笑顔。


「エリナ、行こう」


 エリーナのこと、考え直してくれたのかな。

 私は彼の後ろについていく。アルテ、どこにいるかなぁ。

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