重要なところ
「――――ということがあってだな」
「そうですか……」
アルテの説明が終わる。
「――って、ちょっとまったぁ! ナホといつ会ったの? 私といつ会ったの? そこの説明は!」
アルテはそこを完全にスルーしてきたのだ。他は話してくれたのに。
「あー、あのな、そこは……、すまんが俺からは言えない」
「何それ、全然わかんない」
「エリナは、ナホと友達なんだろ。俺から聞いたって言ったら嫌なことだってあるだろう。むこうに戻ってからさ」
「ん……」
嫌なこと……。ナホから月城君という言葉を今まで聞いたことがない。でも、もし、――。そうだ、もしナホの好きな人が月城君で、告白したとかそんなだったら……。返事がどんなのでも、告白されたとか言いにくいよね。うぅ、考えて、凹みそう。実際、そうなのかな――――。本当のアルテ、月城大輔を知ってて、会ってるんだ。ナホは。
「つまりは、エリーナ様もアナスタシア様もアルテも、メイラ様まで、別人が中にいれられてて、戻ろうとしてるってことですか?」
ザイラがむむむと悩みながら会話に入る。
「それが、わからないんだ。アナスタシアがここにきた理由や、願いなんかは知らないからな。メイラはもう、もとの人物に戻ってる」
「はぁー、まあでもやっと納得したというか……、エリーナさ――じゃなかったエリナ様?」
「あ、エリナでいいです」
「あー、じゃあエリナちゃん。エリーナ様が急にアルベルト様にそっけなくなったりしたのは君だったからでいいのかな?」
責められるのは、当たり前だよね。私はこくりと頷き答える。
「はい、ごめんなさい……」
「いや、わかるよ。いきなり王妃なんて無理だよなー。なるほど、ヴァンデ様が言ってたのはこれだったのか」
「え?」
「手紙読んでませんか?」
「手紙?」
「あれ? アルテあてに持ってきたはずなんだけど」
もしかして、父親からの手紙? あの人ヴァンデって言うんだ。
「すみません、嫌な予感しかしなくて、……持ってきます」
私は急いで隠していた手紙を引っ張りだして、アルテに渡した。
「黒い手紙――、こりゃ確かに、怖いな」
「いやいや、大事な事を書いたらしいですよ。オレはてっきりグリードが渡してるものだと」
アルテが封筒を開けて中を見る。少しして、ふふっと笑っていた。何が書いてあるんだろう。
「さすが、親だな……」
「あの、なんて?」
「要約すると、いまのエリーナの中に別人がいる。本当の彼女は王子を心の底から愛してるから、間違っても手を出すなよって事と、エリナにもし、伝えることが出来るなら、エリーナを返してくれだとよ」
「――っ!?」
父親、わかってたの? 嘘? あの人が?
「親ってのはすごいな――」
アルテはポツリと呟く。
「はやく、返してやらないとだな」
「……うん。そうだね、腕輪見つけなきゃ」
「あぁ、そうだな」
「オレは何か出来ることはありますか?」
ザイラが身を乗り出して聞いてくる。けど、出来ることってあるのかな?
「ザイラは俺とエリナに料理を教えてくれ」
アルテにそう言われ、しょんぼりと肩を落としていたけれど、こればかりは、どうしようもないよね。だって、どうしようもないもの。
「そうだ、ザイラさんは、こんな腕輪を最近つけた人知りませんか?」
フォローを入れるけれど、残念ながら知らないとのことだった。あと一人、誰かの対になる相手の情報。ただ、ルミナスとメイラのように腕輪じゃない可能性もあるのよね。
そういえば、アルテ、私と会ってるという話も教えてくれないのかな。話の流れが完全に変わってしまったから、聞きにくくなってしまったけれど――。




