会ってる?
まって、どうしよう。だって、でも、そうだ!
私の頭の中は特急列車がぐるぐる走り続けている。よーし、こうなったら、誤魔化そう。
「わ、わた、……私の宝物を探す為の大事な相棒なんだから! 腑抜けられたら困ります!」
真っ赤になりながら、私は必死に言い訳を考える。さっきまでの記憶は全部ある? 知らないっ! アルテだって、ちゅーしようとしてたんだから!
「……そうか、ごめんな。また腕輪を――」
「だから、返してよ? それ、私のなんだから」
私の顔、今どうなっているんだろう。怒ってるのか照れているのか泣いているのか、もう自分でもわからない。
そういえばずっと、腕を掴んだままだった。私はパッと一度手を離す。けど、すぐにアルテに掴まえられた。
「わかってる。で、どうやるんだ?」
「知らないっ」
ははっと困ったようにしたあと、彼は何故か寂しそうに笑っていた。
「あのぅ、オレ達もいることを忘れないで欲しいんですけど」
「…………」
私は二人の方を見て、顔に冷水とお湯をかけられた気分になった。
「あ……、その……」
「……ナホというのが、アナスタシア様の中にいる人物か?」
助け船といわんばかりのグリードの質問に、私は慌てて頷く。
「そうです。彼女はナホ……、佐藤菜穂……」
さっきのことがあって、「私の友達」という言葉が続けられなかった。
そして、この言葉を聞いて「……そうか」「やっぱりか……」と、グリードとアルテが同時に納得していた。ただ一人、「え、え? 何の話? オレにも説明してくれー」ザイラを除いて。
「アルテ……? やっぱりって、彼女のこと知ってるの?」
「……あぁ、むこうで会ってるな。たぶん。そうか、アイツか」
二人は知り合いだったの……? じゃあ、ナホが探しているのはやっぱり、アルテの中のダイスケってことなの?
「えっとな……、俺エリナにも会ってるからな?」
「え?」
「まあ、会ってるっつーか、そのだな……」
「何?」
会ってる? 私が? 月城大輔という人物と?
必死に記憶を探すけれど、そんな名前を私は見た事も聞いた事もない。
「あのー、オレにもわかるように説明してくださーい」
ザイラが悲しげに眉を下げて、お願いしてきた。
「あー、すまん。実はだな……」
アルテが説明を始めると、グリードはもう一度城に飛んだ。
「……姿を消しているだろうが」
と言って。たぶん、ナホを探しに行ったのよね。見つけたとして、グリードに何か出来るのかな? あ、でもさっき効かなかったみたいだし、もしかして魅了を無効化する魔法があるとか?
まあ、まずはアルテの説明をしっかり聞かせてもらわないと。ナホとの関係や、まだ知らないこと。――いったいいつ、私はあなたに会ったの?




