一緒に探すよ
◆
黒い髪が重力に引っ張られて下に垂れる。
「本当にすみませんでした……」
街の雑踏から少し離れた路地裏、眼鏡をかけた、見た目真面目エリート君が金茶髪の正反対な見た目の私に頭をさげている。
謝られてるのにまるで、私がイジメかカツアゲでもしてるみたい。本当に見た目って、外から見ると大事だなぁ。
だって、私がこの格好でなければ、今、彼に謝られる事がなかったんだから――。
「いいよ、別に……。間違いなんて、誰にでもあるんだから」
「本当にすみません」
何度も何度も謝る彼に辟易し、私は、はぁとため息をついてから、手を差し出す。
「行こう……。一緒に探すよ」
やっと上を向いたソイツは、信じられないモノでも見たような顔をしていた。
◇
「う、え、えぇぇ」
あまりの気持ち悪さに、私は青い顔をして、ふらふらしていた。
「少し遠い移動でしたからね。近距離と違って、うぅ」
ルミナスも軽くヤバそうだ。ただ、一緒に飛んだはずのアルテとメイラはぴんぴんしていた。ずるい。あ、もう一人、グリードも、すました顔をしていたから、大丈夫だったのかな?
青い顔の原因は一緒にきたメイラが持ってきたドレスを着たから、ぎゅっと締め付けられていて胃の辺りが気持ち悪い。
それと、六人の魔術師が力を合わせての移動の魔法。迎えに来た三人が、入り口を開き、残りの三人が出口を作る。
なかなか、大変な魔術らしいのだが、これをくぐった瞬間目が回ったのだ。
まあ、そうこうして今、私はサンスコーンのお城に到着した。
お城とドレスを汚してはいけないという一心で私は色々我慢する。
「おかえりなさいませ、お兄様」
最初に迎えてくれたのは、ルミナスに似た赤い髪を腰までたらしたお姫様。
「ただいま、シャル。父様と母様は?」
「お待ちかねです」
優雅にお辞儀する彼女は、私とメイラを睨み付けていた。
「そのお二方は?」
「ボクの未来のお嫁さん候補達だよ」
………………? えっと、達って? あれ?
「そうですか……。ソフィーのことは?」
「ボクの事はボクが決める」
ルミナスがそう言うと、シャルは嫌な顔を浮かべていた。何か嫌なことに巻き込まれてませんか? メイラが婚約者ですよね?
私はアルテと手を繋いでいるし――。
「アルテ様は、そちらを賜るおつもりですか――」
ポツリとそう呟いてシャルと呼ばれたお姫様は、また笑顔に戻る。その表情の変化にすごく、寒気が走った。
「私は少し用事がありますので」
スッと、綺麗なお辞儀をしてお姫様はどこかに歩いていく。見送るルミナスの表情はいつもの飄々とした笑顔だ。
「それでは、行きましょうか」
「はい」
ルミナスとメイラが手を取り合い、歩きだす。私は、――このまま進めばいいの?
訳がわからないまま、アルテに引かれ、ルミナスの親に会わせられることになった。




