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私の宝物を探して~返してよ?それは私のものだから!~  作者: 花月夜れん
前編

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おかえりとお願い

「あれ、あれ?」


 なんでないんだろう? 私は今すごいピンチです。シャワーを浴びてスッキリタイムのはずなのに、石鹸がない!!

 すでに体は濡れている。これは、アルテが言っていた地味に嫌なヤツ!!


「アルテー」

「どうした? そんな悲しそうな声をだして」

「石鹸がないよー」

「あ! すまん、こっちに持ってきてるんだった」


 アルテのせいか!! ちゃんと戻しておいてよ。


「腕だけ入れていいか?」

「うん、お願い」


 アルテの大きな手が扉の隙間から伸びる。なんていうか、ぷるぷる震える手はかなり必死に見えてしまう。

 引っ張ったらびっくりするかな? なんて考えながら、アルテの持っている石鹸に手を触れると、いつかのようにアルテの腕にはまっていた腕輪が光を放った。


「……え? あれ?」

「ん、どうした?」

「アルテ、気をつけて!」

「は、何のことだっ?!」


 アルテが手を引っ込めると同時に「いってぇ!」って声がした。どうやら引っ込めた時に腕のどこかを擦ったみたい。


「んん?!」

「腕輪が戻ってきちゃった…………」

「腕輪がなくなったな……」


 私の腕には【幸運】の腕輪が久しぶりにはまっていた。


 ◇


 シャワーを終えて、二人で椅子に座っている。アルテの髪は少しまだ濡れていて、いつものツンツンした感じではなく髪が下向きに全部垂れている。


「レースが終わって、エリナの腕輪ももとに戻った」

「戻りましたね」

「つまり、エリナは俺と一緒にいる意味がなくなったな」

「……」


 急にこんなことになってしまって私は内心とても焦っている。

 これは、この流れは、やっぱり……。


「今まで、ありがとうな。巻き込んですまなかった」


 だよね。そうなるよね。

 アルテが頭を下げて謝る姿は、私の心をぎゅっと締め付けた。


「これで自由だな」


 違う、私は、自由じゃなくて……。私が欲しいのは――。

 アルテが次の言葉を言う前に私は心を決める。


「ここでアルテを置いていったら、私の心が痛いの! だって、また、あんなぼろぼろになるかもでしょう?! アルテの腕輪が見つかるまで、一緒にいる! 私がそうしたいから!」


 一気に捲し立てると、アルテはすごく驚いた顔をしていた。


「いいのか?」

「いいって言ってるでしょう」


 だって、あなたのことが大好きだから。素直に言いたいのに、上手く言葉になってくれない。

 また、私から告白したら、あの人みたいになるんじゃないかって、少し怖い。この人は違うって、思いたいのに。


「甘えさせてもらうよ、ありがとう。エリナ」

「うん」


 少し、困りながらも彼は笑ってくれた。今までは、私が守ってもらう方だったけど、今日からは、アルテを不幸から守る!

 私は、気合いをいれてアルテの手を握った。

 でも、アルテの腕輪って、どこを探せばいいんだろう。


「ねぇ、アルテ」

「ん、何だ?」

「どこで腕輪がなくなったとかは覚えてるの?」

「あぁ、それは――――」


 この街でなくなったという話だったけど、もっと詳しい話はまた今度するよ、とはぐらかされ夜はふけていった。


 おやすみと言ってベッドに転がる。眠りにつく前に、私は少し考え事をしていた。

 ――――ナホに、連絡をどうやってとろう……。まだ、アルテと一緒にいないといけなくなったから伝えなきゃ。でも――。

 彼女がアルテに【魅了】の腕輪をむけた。

 その事を思い出して、私は胸の中に黒いもやもやがかかった。


 ナホは、何を思っているんだろう……。アルテと仲良さそうにしていたのが気に入らないなんて、思ってたりするのかな。

 そういえば、幼なじみだけど、彼女の好きな人とか、聞いたことない。いつも私のことばかり聞いてもらってた。

 はぁ、とため息をついてしまい、アルテが心配してくれた。


「どうした?」

「う……ん、私子どもだなぁって。友達の気持ちがわからないや」

「友達か……。子どもも大人も関係ないだろう。他人の気持ちなんてわかるわけない。言いたかったら言ってくる。それまでは、気に病む必要はない。だろう?」

「そうかなぁ」

「置いてきちまったな。あの黒い髪の子。気になるのか?」

「うん」

「ルミナスに様子を見てもらおう。王子の横にいたくらいだ。今日は一緒にいただろう」


 ふわふわとアルテの大きな手が私の頭を撫でてきた。


「何!?」

「あぁ、すまん。妹にしてたから、つい。こうしたら落ち着いて寝てくれてたから。いや、すまん。小さい頃のことだから、エリナにするのはおかしいな」

「妹?」

「あぁ、二人きりの大事な家族なんだ」

「そうなんだ」


 大きくなって、手が離れてしまったのかな。

 二人きりの家族……。アルテは、辛い過去があったのかな。


「今度、エリナにきちんと説明する。友達もなんとかしてみる。だから、寝ろ」

「……うん」


 私は目を閉じて、アルテにお願いした。


「もう一回、頭撫でて」


 少し、間があったけど、大きな手がふわふわと頭を撫でてくれた。

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