レースの勝者
グリードが魔法で勝った方の印を空に打ち上げる。あれは――。
『優勝は、アルテ・リリーナペアです!!』
「やった……」
「おう、やったな」
アルテが笑いながら振り向く。
ハイエアートはゆっくりとウィニングランみたいに空を飛び続ける。いつのまにか、精霊達も肩に戻ってきていた。二人は、仲良さそうに手を繋ぎながら、笑っていた。
「アルテ、……約束」
「わかってる、ちゃんと探すよ。ありがとうな、リリーナ」
優勝しちゃった……。私はゆっくりと飛ぶハイエアートから、空を眺める。すごくきれいな青色。
「アルテ」
「なんだ?」
「――私、アルテが好き」
小さな小さな声で私は言った。絶対に聞き取れないくらい、小さな私の呟きは、思った通りアルテの耳には届かなかった。
「何だって?」
「おめでとう、あと、ありがとう」
「あぁ。さぁ、降りないとな」
「うん」
後ろのアルベルト達は先にゆっくりと降下を始めていた。だから、二人がどんな顔をしていたのか、見ることはなかった。
◇
「おめでとうございます」
「おめでとう!」
「優勝おめでとう!!」
優勝者の立つ場所に沢山の人達が集まる。このあとすぐメイラからの授与式……。きゅっと、私は体をこわばらせた。
『それでは授与式です、王女メイラ様!』
さーっと、人の波がひいて、道が出来る。
コツリ、コツリと可憐なお姫様が歩いてきた。
私はアルテの後ろに下がり、大きな体で身を隠す。だって、これから見せ場だもんね……。おまけは見えない方がいい。
コツリコツリと、私達の前にたどり着いた彼女は、ゆっくりとその綺麗な顔を微笑ませる。
「優勝、おめでとうございます。アルテ様」
「あぁ、ありがとう。メイラ……様」
嬉しそうに笑うアルテ。みつめあう二人を見るのが嫌で、私はくるりと後ろをむいた。ただ、振り向いた先にはルミナスが立っている。
顔を見られたのかな……。なんだか、ぷくくって聞こえてきたんだけど。
「こちらが優勝の証と、賞品です。そして――」
耳を塞ぎたいのに、目の前のルミナスが邪魔をする。
「私の婚約者は、アルテ様を代走者として届け出た、ルミナス様となりました!!」
わーーーーーと、また大きな歓声があがった。
え? え? 代走者?
くるりとアルテの方を見ると、ルミナスが前に出てメイラと手を繋いでいた。
あれ? えっと? あーーーーーーー!!
そうだ、このハイエアートレース、代走者OKのレースじゃない!
だから、メイラの兄のアルベルトも出走してるわけで……。
何で、私、気が付かなかったの?
あの日、ルミナスの家で見た金色の髪の女の子。
目の前の、メイラ。同じ香水の香りがする。って、ことはまさか!?
「ふー、一仕事終わったな。これで次はリリーナに腕輪を返す方法を――っ?」
私はぎゅっと、アルテの手を握る。伝えたい。今なら言える気がする。
「リリーナ?」
「アルテ! あのね! 私ね!」




