三人一緒に
「目が覚めましたか」
「あ、はい。私はいったい。あ、あの女性は? 無事でしたか?」
声が聞こえてくる。
「まずはすみません。ボクの護衛が勘違いしてしまい、貴方を突き飛ばしてしまいました」
「あ、あぁ、あの人は貴方の護衛でしたか――。それならば仕方がありませんね。心配していたのでしょう。私はどこも怪我をしていませんので、お気になさらず。――それで、女性は大丈夫でしたか?」
アレンが私の無事を気にしているような……、気のせいかな。それにしても、近くない――?
「ありがとうございます。彼女は、無事です。家に送り届けました」
「……そう……ですか」
ねぇ、だから近くない?
今、私達はシャワールームで聞き耳を立てている。アルテの大きな体がすぐ上にあるのだ。
男の人の一人暮らしシャワールームだもの。二人入ったら、こう、狭いのはわかるんだけど!
結局、手を離して一人で隠れておくのは危険だろうとルミナスが言って、私達は二人一緒に隠れている。隠れられる場所がここしかないからしょうがない、わかってるんだけど、近い。
「では、私はこれで失礼させてもらいます。介抱ありがとうございました」
「いえ、こちらこそありがとうございました」
二人の声はそこで終わった。扉が開いて誰かが外にでていく気配がする。
「終わったのかな?」
「だろうな」
ヒソヒソと話していると、ルミナスがこちらにやってきた。
「もう少しそこにいますか? たぶん、彼はここにいることに気がついていますよ――。また、来る気がします」
ルミナスもヒソヒソ声だ。
「いや、狭いからでるぞ。どうせ、変わらないだろ」
そう言って、アルテは私を押し出した。もー、女の子の扱いが雑!
は、まさか私は女の子に入らない系?!
一人ショックを受けていると、ルミナスとアルテは二人で話し始めていた。
「どうする? 変える?」
「いや、俺はいい。お前だけかわっとけ」
「いいの?」
ちらりと二人はこちらを見てくる。何?
「俺がついてる。もうへまはしない」
「……そうか、そうだね」
「今日は、お前もとりあえずここでいいだろ」
私は頭に疑問符を浮かべて、首を傾げていた。
◇
「へー、そうやってたんだ」
「あの……」
ルミナス、そんなに、お願いだから、見ないでぇぇぇぇ!
私は、顔を赤くしながらうつむく。
人に見られると、やっぱり恥ずかしぃぃ。
「しょうがないだろ! くっついとかなきゃ、危ないんだ」
気のせいか、アルテもちょっと赤い?
「あっちぃっ――」
アルテってば、フライパンに指が当たったらしい。ヤケドしちゃったみたい。
「大丈夫? ウィンディーネ! お願い」
私はウィンディーネを呼んで、ヤケドを治すようにお願いした。
自分の顔をした小さな人魚ちゃんがアルテの指に飛んでいき、チュッと軽いキスをする。その様子を見て何故か二人揃って赤さが増してしまった。
「サンキュなっ」
「いえ」
ルミナスは、ぷくくと笑っている。
うーー! もうっ! 笑わないで下さい!
「ほい、今日は海鮮とトマトのリゾットだ」
「うわー、さっすがぁ!」
今日もいい香りです! さすが、アルテ様! スーパー凄腕敏腕料理人。口には出さないけど心の中でほめまくる。
あ、でも言ってあげた方が喜ぶかなぁ?
「アルテの料理は久しぶりですね。相変わらずの腕前で」
「そうだな」
今日の晩御飯は三人で、笑いながらアルテの料理を楽しんだ。
「ボクは寝たら、起きませんのでお気になさらず」
「いや、何言ってんだよっ!」
謎の言葉を残して、ルミナスはソファーにぽすんと倒れこんだ。
「寝るか」
「……はい?」
「何で疑問系なんだ」
「いえ、あんなことがあったのによく眠れるなーと」
「あー」
アルテは頭をガシガシしている。かゆいの?
「明日説明するよ。とりあえず、大丈夫だ。リリーナも疲れてるだろ。無理してでも寝ろ。俺がここにいる」
「ん……」
もしかして、アルテが寝ずの番でもするつもりなのかな?
それは、何だか悪い気がするけど。
「明日、トレジャーハントは中止した方がいい?」
私がポツリと呟くと、アルテは呆れたように笑った。
「大丈夫っつったろ。寝ろ」
体を横倒しにされて、ブランケットを頭まで被せられる。
「はーい」
無理とかさせてないかな……。私の事で迷惑かからないといいけど……。
空いている手でブランケットをちょうどいい位置に調整して私は目を閉じた。




