第四章 27
目の前に借りていた王家の鎧などを並べてラミルは玉座に向かって跪いている。
「ラミルよ、どうした?」
「キリアへ行って調べたいことがありまして、今までの報告と借りていた鎧などを返すために寄りました」
「着けているその鎧は、この王家の鎧より優れているのか?」
ラミルは周囲を見渡した。
「王様、これからする話は他の誰にも聞かれたくはありません、申し訳ありませんが他の人たちの退室をお願いしたいのですが」
「この私にだけ話すと言うことか、わかった、皆の者、この部屋から出ていてくれ」
侍従、そして王子、王様以外の全ての者が部屋から出て行くとラミルは玉座に近づいた。
ラミルは、自分がジゼルの血、ジゼル王家レミルの血を継ぐ者であることを明かした。
「やはりそうであったか、お前とはじめて会ったとき、その瞳の色、身のこなし、私はお前が救世主であることを望んでおった」
「この鎧は、ジゼルの血を継ぐ者のみが着けることができる鉱石で作られています。アンに立ち寄った際、ハスバル様が盾を持ったとき、とてつもなく重くてよろけてしまったのに私には目の前にある王家の盾よりも軽いのです。そしてこの兜、鎧、盾は、ジゼルに古くから伝わる呪術によって敵の魔力を封じる力も持っているのです」
「なるほどそういうことか、わかった。これらの武具はまた私の部屋に飾るとしょう」
「すみません、魔物の血で汚れてしまっていますので・・・」
「そんなものは洗い流せばよい、他には無いか」
「それから・・・王様はシチラのガルディアをご存知ですね」
「ガルディアか・・・知っておる、奴が今回のことに何か関係があるのか?」
「はい、キリアの祠を襲ったのは恐らくガルディアと配下の者です」
「なに、ではガルディアを捕らえれば良いのだな」
「いいえ、それは不可能です。すでにガルディアは悪魔に魂を売っており、体はガルディアかもしれませんが中身は悪魔、どうやら魔王になってしまったようです、そしてそのガルディアの側には牢屋から消えた元衛兵のザギルがいます」
「なに!ザギルだと」
「ザギルもガルディアの姿をした魔王から力を授かり、配下の者を連れてジゼルの末裔を探し出して殺しているのです」
「そんなに末裔は多いのか?」
「シチラの近くにあるシーバにはジゼルの末裔だけが住んでいたようです、しかしその村はザギルによって一瞬で滅ぼされました、サントのように・・・」
「なんということを・・・ザギル、あのとき死刑にしてしまっておけば」
「王様、私はすぐにキリアに向かいます、王宮の戦士や兵士にはくれぐれも注意するよう促してください。シチラの男たちは兵士の格好をしていますが、この国の兵士とは違います。配下の兵士でも戦士なみの強さの者もいます、じゅうぶんに注意が必要です」
「そうか、わかった・・・」
ラミルが話しを終えて王の間を出ると、ジラルが声をかけた。
「ラミル、数日前のことだけど、町でロザイルに似た男を見かけたんだが」
「ロザイルに似た男?本当ですか?」
「うん、槍を持っていたし、とてもよく似ていたから間違いないと思うんだけどウズルの村長と違う老人と一緒にいた。エミルザさんとバグロブにいるものと思っていたんだけど」
「そうですか、たぶんそれはロザイルですよ、まだ町に居ればいいけど・・・ところで、まだアバブでは薬を作っていますよね?」
「いや、アバブでわずかな人数で作っていては間に合わないんだ、だから今はこのザハールで作っている、あの男もこの村に居るぞ」
「それは都合が良かった、薬を貰っていきたいのですが」
「またすぐに行くのか?それなら今すぐに取りに行ってくるけど」
「すぐ行くつもりでしたが、ちょっと町でロザイルを探してみますので明日の朝にします」
「わかった、後で貰ってきておくよ」
ラミルはジラルと別れてロザイルを探しに出掛けた、しかし、他の町よりも広いザハールで、ロザイルを見つけることはできなかった。




