第四章 23
外には十数人の兵士がいて、サーはその中で一番大きな男に襟首を掴み締め上げられている。
「お前たち・・・何をしている」
走り寄ったラミルは、その兵士たちの姿を見てハッとなった。
(こいつら王宮の兵士じゃない)
(ラミル、あいつ、ザギルだ!)
ザギルはサーの襟首を掴みながら、叫んだラミルを見てニヤリと不敵に笑った。
「これは、これはラミル様ではありませんか」
嫌味な言い方は変わっていない。
「ザギル・・・貴様、何をしている」
「ガルディア様の命令で、ジゼルの末裔を抹殺するのさ」
「やはりお前たちがシーバを・・・」
「シーバにいた私の部下たちを倒したのはお前か、多少は腕を磨いたようだな」
「その老人を離せ」
「こんな老人は放っておいても死ぬだろうが、ガルディア様の命令なのでな」
(ラミル、ここは僕にまかせろ、あいつ単純だから挑発すればサーを離すはず)
(わかった・・・)
「おいザギル、元王宮の衛兵が弱い者いじめとは、やはりお前は弱虫だったんだな」
「なにっ!」
「そんな弱虫だから、年下の俺に2度も負けるんだ、もともと相手ではなかったわけだ」
「貴様・・・ちょうどよいところで会った。貴様だけは八つ裂きにしたいと思っていたのだ、今ここでお前と決着をつけてやる、こんな村を潰すのは後でもできる」
「ザギル、お前なかなか面白いことを言うな、2度も負けて、しかも情けをかけられているのに」
「貴様・・・許さん」
ザギルはサーを離して剣を抜いた、ラミルも剣を抜いたが緑色には輝いていない。
「その剣は大地の剣か、そうかお前が持って行ったのか、あの虎の化け物、剣など知らぬと言っていたが・・・それを持っているということはお前もジゼルの末裔か、これは都合がいい」
ザギルは剣を振り上げて突進してくる、以前戦ったときよりも数段速い。
ラミルは一歩も動かずにザギルの剣を受け止めた、ザギルはもともと力があったが速さだけではなく力も増しているためラミルは押し戻される。
「どうした、俺は昔の俺ではない、偉大な力を手に入れたからな、さあ本気を出してみろ、今の俺さまはお前など本気を出さずとも倒せるぞ」
(ちくしょう・・・あの主を倒しただけのことはあるな)
(健人、今、こいつにやられるわけにはいかないぞ)
(わかっているよ、まだ死ぬわけにはいかない・・・それに主の仇を討たなきゃ)
右腕に着けた腕輪に衝撃が走った、剣が緑色ではなく黄色に輝き、ハン上空の青空を覆い隠すように雷雲がたちこめる。
(色が違う・・・なんだ、これは・・・)
ザギルも剣を見て驚いてラミルから離れた。
「なんだ、その剣は、大地の剣ではないのか、まさか太陽の剣・・・」
ザギルは動揺しながら剣を左手に持ち替え、ラミルに向けて右手を翳して呪文を唱えた。
(ラミル、まずい呪文・・・)
ラミルの着けている盾、兜、鎧が青白く輝いて、ザギルの呪文が効かない。
「なんだと、呪文が効かないだと・・・貴様、なんだ、その鎧は」
「ザギル、力では勝てないとみると呪文か、愚か者」
ラミルは剣を構えて素早く剣を振り下ろした、剣先から雷が出てザギルに向けて閃光が走り、ザギルは素早く横に飛んで閃光を避けたが、後ろにいた数十人の兵士たちは一瞬で消失した。
「き、貴様も呪文を・・・」
ラミル自身にも何が起こったのかわからなかった、しかし、ザギルは連れてきた兵士たちが一瞬で全滅してしまい動揺している。
(なんだ、今の破壊力・・・凄すぎるぞ)
「ザギル、自分だけが力を得て強くなったと思うなよ」
健人はわざと強がってみせた。
「覚えておれ・・・今日のところは引いてやる、だが貴様だけは必ず私の手で倒す」
ザギルは捨て台詞を残して消えた、ラミルはホッとして気が抜けた。




