第四章 22
(レミルは新しい力を授けてくれると言っていたのに・・・)
穴の周囲を見回したが他の穴は見当たらない、それにこれ以上は人が登っていけるような道もなく目の前には険しい断崖絶壁しかない。
(どうやら、本物の知の腕輪はここには無いみたいだ、まさか偽者が隠されているなんて・・・でも雷の石は手に入ったからハンに戻ろう)
ラミルは雷の石をなくさないように腕輪の入っていた箱に入れ、落とさないように懐に入れると腕輪は諦めてハンに戻って本を見直した。
(雷の石は手に入れたけど、石だけではどうしようもないな)
(なあラミル、もしかしてロムさんに聞いたら何かわかるんじゃないか?)
(確か魔導師って王家の守護神だって言っていたし、特別な呪術を使うみたいだし、もしかしたら雷の石の効果的な使い方を知っているかもしれないね)
ラミルはすぐさまロムの家を訪ねた。
「ロムさん、腕輪と石の関係について何かご存知なら教えていただきたいのですが」
「腕輪と石の組み合わせによって剣にどのような影響を及ぼすのかについては詳しく知りませんが、呪術のことでしたらわかると思います」
祠に行って見つけた知の腕輪が偽者で、雷の石だけを手に入れたことを話した。
「偽者を置いた意味はわかりませんが、砕けてしまったということなら間違いなく偽者のようですね。ところで、腕輪と石は組み合わせによって発揮する力が違うことはご存知ですよね?」
「はい、確かレミルはこの力の腕輪と光の石を使っていたと書かれていました」
「今は力の腕輪と風の石を組み合わせて使っているようですが、力の腕輪は攻撃用の腕輪ですが、風の石は攻撃用の石ではありません。もちろん腕輪との組み合わせで攻撃用として使用することはできますが、本来は呪文用の知の腕輪と組み合わせるのが最も威力を発揮するはずです」
「という事は、この力の腕輪と雷の石の組み合わせるとどうなるのですか?」
「組み合わせによってどのように変わるか詳しくはわかりませんが、知の腕輪と雷の石の場合にはサンデルという呪術が使えるようになるはずです」
「なるほど、力の腕輪と雷の石はやってみないとわからないということか」
「しかし、雷の石は攻撃、呪文の両方に優れているので試してみる価値はあると思いますよ」
「わかりました、さっそく試してみていいですか?」
ラミルは腕輪をはずし、腕輪から風の石を取り出して雷の石を取り付けると腕輪を右腕に着けなおした、今は何も起こらないが、腕輪からはずした風の石を腕輪の入っていた箱に入れた。
「ロムさん、疲れているのにいろいろありがとうございました」
「いいえ、魔導師としてお役に立てれば光栄です、必ずや悪魔を倒してくださいね」
「はい、必ず倒してみせます、本当にありがとうございました」
その時、外で大きな音がした。
「あなた方は何者ですか」
サーの大きな叫び声が聞こえた。
「ロムさん、あなたは外に出ないで」
そう言ってラミルは剣を取って飛び出した。




