第四章 21
早朝、ラミルはウルトで貰った本と剣だけを持って、セラムの祠を目指して村を出た。
道が険しいため歩いて行かなければならなかったが、新しい甲冑は軽く、険しい道も苦になることなく登っていける、しかも、新しい甲冑からは血の臭いがしないため死鳥も襲ってこない。
しばらく獣道のような細い道を歩いて行って、さらに険しい岩場を登りきったところに小さな祠と思われる穴を見つけた。
(ここかな?歴代の王妃が祀られていると言っていたけど・・・)
(でも、そんな感じには見えないな、穴も小さいし奥も深くはなさそうだ)
穴に近づくと突然右腕に着けている力の腕輪が共鳴するように耳障りな高音を発した。
(なんだ、この音、ここに何かあるのか?)
(凄く耳障りだけど何かあるのかもしれない、とりあえず中に入ってみよう)
ラミルは体を屈めて穴に入ってみた、少しだけ体を伸ばせる高さはあるが奥行きは無く、わずかな光だけで上の方は暗くてよくわからない。
(凄く窮屈な穴だな、それに何も無いみたいだぞ、もしかして違う穴かな?)
(でも、さっきから続いているこの耳障りな音がやまないのは、きっと何かあるよ)
とりあえず上の方から手探りで穴の壁を探ってみることにした、上の方から屈みながら徐々に探っていくと、ちょうど腰の高さのところに手が入るほどの小さな横穴があり、ラミルはそっと手を入れてみる。
(箱だ、箱があるぞ)
ラミルは、ゆっくりと箱を取り出して外に出ようと体の向きを変えて深く屈みこんだ、すると目の前に黄色に輝く小さな石を見つけた。
(この石・・・この形はもしかして)
ラミルはその石を慎重に手に取って穴から出ると近くの岩の上に腰を下ろして取り出してきた箱を見た、この箱もセラム鉱石で作られているようで鎧と同じように青白く輝いている。
(そういえば、この箱、ラミルの家にあった力の腕輪とお金の入っていた箱と同じだな)
(青白く光っているこの箱・・・やはり王家に関係する物なのかな、さっそく開けてみよう)
箱の中には布に包まれた腕輪が入っており、布には『知の腕輪』と書かれている。
(これが知の腕輪か、するとこっちの石は・・・術者の石)
ラミルは持ってきた本と腕輪、石を見比べた、腕輪はまさしく知の腕輪のようだ。
(石は色からすると『雷の石』みたいだな、さっそくはめてみよう)
慎重に石の向きを変えながら腕輪に石を嵌めてみた、やはり何も起こらないが左腕に着けた途端に知の腕輪が砕け散った。
(そんな馬鹿な・・・腕輪が砕けるなんて)
ラミルは腕輪のかけらと、はずれた雷の石を手にした。
(この腕輪・・・良くみるとセラムの鉱石で作られたものじゃないぞ、まさか偽者?)
(ここには雷の石しか無いのかもしれないな)
(でも腕輪だけでも、石だけでも力は発揮しないだろ、だとすると新しい力って・・・)
ラミルは必死になって本を読んだ、雷の石が雷の呪文を操ることができるようになることはわかったが、肝心な腕輪が砕けてしまったのではどうしようもない、再び穴に入って探ってみたが他には何も無かった。




