第四章 18
最初に攻撃を仕掛けたのは兵士だった、剣の振りは速くて鋭いが見えない速さではない。
ラミルは間合いをわずかに開けて攻撃をかわしてすぐさま反撃したが、最強と言われただけのことはある、ラミルの攻撃も簡単にかわされてしまう。
「さすがに速いし鋭い攻撃をしてくる、でも勝てない相手ではなさそうだ」
ラミルは笑みを浮かべて剣をわずかに上げた。
「今度はこっちから行かせてもらう」
今度はラミルからゆっくりと接近していく、兵士は剣を構えたまま動かずラミルが間合いに入ってくるのを待ち、間合いに入った瞬間に大きく剣を振りかぶった、ラミルは素早く踏み込んで兵士の胴を打ち抜き確かな手ごたえを感じて振り返ると兵士の姿が消えていく。
「よし、やった」
まだだ、1人ぐらい倒したぐらいで、終わりだと思うな。
今度は兵士が3人現われた。
「今度は3人か、いいさ、相手になってやる」
ラミルは次々と兵士を倒していった、3人が4人、5人と増えていき、10人まで来ると、さすがに疲れが出て、動きが鈍くなってきた。
「いい加減にしてくれよ、いったい何人倒せばいいんだよ」
いいだろう、健人を戻してやろう、今度は2人の力を見せてもらおう。
ラミルは体の中に健人を感じた。
(ラミル、腕を上げたな、試練と言っても無制限に続くわけではないだろうから頑張ろうぜ)
(でも、これだけの数を相手にしていると疲れるよ)
(じゃあ、少し休んでいていいよ・・・と言いたいけど、体は借りるよ)
今度は健人がラミルの体をコントロールした、入れ替わっても疲れは体に残っているが鍛えられたラミルの体は動けないというほどではない。
健人は剣を中段から横に構えなおした。
健人を取り囲んでいる兵士は間合いを詰めながら徐々に近づいてきているが、健人は背後の兵士の気配を感じながら、目に見える範囲の兵士の足元を見ていた。
兵士の1人が健人の間合いに入る、健人は左手一本で剣を横に振り払うと兵士は健人の攻撃を避けるように間合いから下がる。
「なるほど、確かに良い動きしている、でもお前らなんか相手じゃない」
何を生意気なことを・・・
「いつまでも見合っていてはしかたないな、かかって来ないなら、こっちから行かせてもらう」
健人は構えを変えた、膝を少し曲げて腰を落として左足を前に出して半身になり、両手で持った剣を担ぐように構える。
兵士たちは始めてみる構えに少し困惑したようで一歩下がって剣を構えなおした。
健人は西洋式の剣の構えでは振り下ろすタイミングが遅くなることに気付いていた、そのため剣を肩に担ぐことで振り出しのタイミングを早くする作戦だ。
兵士たちが剣を振り上げた瞬間、一番近くにいる兵士の足元を狙って剣を振り払うと手ごたえを感じた。
膝をつくように倒れる兵士に瞬きをする余裕も与えないほどの速さで首元に剣を振り下ろし、まるで流れるような動きで1人、2人、まるで舞っているように華麗で無駄の無い動きで次々と6人を倒すと、残りの3人の攻撃を避けながら大きく下がって体制を整えなおして不敵な笑みを浮かべた。
「さすがに一度に10人倒すのは無理か」
そう言って強がって見せると兵士は同じように構えた。
「おいおい、思いつきで構えたって、俺には勝てないって」
健人は挑発するような口調で吐き捨てると再び同じように構え、今度は足元を狙うと見せかけてフェイントをかけ、足元を防御した兵の首を刎ね飛ばした。
(やるな、さすが健人)
今まで見たことのない健人の動きに残りの兵士は動くのをやめた、間合いを詰めてくる様子もなく慎重にこちらの動きを見ている、健人もそれに合わせて慎重に相手を見ているが、ラミルが1つだけおかしなことに気付いた。
(おい健人、一番左の兵士だけさっきからまったく攻撃してこないぞ、剣は構えているけど間合いも詰めてこないし剣を動かしもしない)
(もしかして、こいつは本当に幻か?それなら残り2人だな)
健人は上段に構え、わざと胴に隙を作って相手を誘う作戦に出ると兵士は罠にかかったように剣を突き刺そうと踏み込んできた。
健人は右に回り込むように動いて剣を避け、左足を大きく踏み出して左手1本で剣を振りかぶって相手の右肩口に叩き落とした、すぐに両手に持ち替えてもう1人の剣を弾き返すとその兵士に体当たりし、兵士がよろけている隙に剣を振り上げて兵士の頭をめがけて振り下ろした。
健人はとうとう9人を倒して最後の兵士を睨みつけたが、最後の兵士はまだ動かない。
(やっぱり動かないみたいだな、でもいちよう倒しておくか)
健人はゆっくりと近づいて剣を振りかぶり、最後の兵士に向かって振り下ろそうとした瞬間、その剣がいとも簡単に振り払われた。




