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Dark  作者: 赤岩実
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第四章 13

 山に囲まれているので、日が沈むと家の中はとても冷えるのか暖炉に火が入っている。

 サーと一緒にいた2人の老人も一緒に来て暖炉の側に置かれた椅子に腰をおろすと、暖炉に近い椅子に座った老人が口を開いた。

「先ほどは危ないところでした、あなたの体からは血の臭いがするので襲われたのでしょう」

 もう一人の老人も口を開いた。

「ここは別名死の谷と言って昔ジゼルが病に侵されて命を落とした者を捨てに来た谷です、と言ってもここから奥に行きバイス山に少し入ったところですがね。そのため昔から死鳥が多く棲みついているのです」

「死の谷ですか・・・ところでここには何人の人が住んでいるのですか?」

「もともと10人ほどしかいませんでしたが、今はもう私たち3人だけになってしまいました」

「えっ?たった3人ですか!どうやって生活しているのですか?」

「我々3人だけですから、サザルから来る商人に頼んで食料を運んでもらっています。なんでも最近は魔物が出るので大変だと言っていましたが、谷に入ってしまえば魔物は出ませんから」

「ところで戦士様、わざわざこんな村に私を訪ねて来たのには何か理由があるのでしょう?」

 ラミルは思い出したように、袋の中から大きな石の塊を取り出した。

「ウルトで、この石をハン村のサーという人のところへ持っていけと言われたのです」

 サーは石を手に取って眺めると、少し驚いた顔をした。

「これはまさしくセラム鉱石、しかもこの大きさの石をここまで持って来ることが出来たということは、戦士様はジゼルの末裔ですか?」

 ラミルは右腕の袖をまくり、力の腕輪を見せた。

「そ、それは王家の紋章、あなた様はいったい?」

「私はラミルといいます。サントで産まれて今は王宮の戦士ですが、実はレミルの子孫です」

「レミル様の子孫?間違いないのですか?」

「はい、ムーラが・・・」

 3人にそれまでのことを詳しく話した、ジゼルの血を引く彼らにとってはムーラの魂が復活したことは別に不思議なことではないようで、なんの疑いも無くラミルの話しに耳を傾けていた。

「話はわかりました。確かにラミル様の目はレミル様と同じ青き瞳ですし、なによりもその大地の剣で魔力を呼び起こすことが出来るのは王家の証です」

「そういえば、さっきから王家と言っていますが、レミルはジゼルの王様だったのですか?」

「はい、レミル様はジゼル王家の血筋で、ジゼルがあのようなことにならなければ、レミル様はジゼルの王になっていたお方です」

 もう一人の老人が口を開いた。

「流行病の話はご存知ですかな?」

「はい、ムーラから聞きました」

「そうですか、その病はレミル様の妻であるアーシャ様の体をも蝕みました。レミル様と多くの魔導師や整術師があらゆる治癒呪文を使ってアーシャ様や多くの民を救おうとしましたが駄目でした。結局はジゼルの呪文ではどうすることもできずアーシャ様だけでなくレミル様の父上である王様、そして多くの民が命を落としたのです」

「レミル様はその後、王としての最後の命令として、生き残った者に国を出ていくように命じ、ご自身も娘のサリア様を連れて国を捨てたのです」

「そうだったのですか」

「しかし、王家の血は途絶えていなかったのですね、こうしてラミル様が我らのもとに・・・」

「私は1人の戦士、そしてレミルの血を継ぐものとして悪魔に立ち向かわなければなりません。そのために、その石をここに持ってきたのです」

「わかりました、これはしばらく預からせてください。2、3日この村に滞在してくだされば、3人で力を合わせ、いま着けておられる兜、鎧、盾よりも頑丈で軽いものを作ります」

 サーはそういうと、他の2人に向かって声をかけた。

「力を貸してくれ、この年になって1人でセラムを鍛えるのは無理だ」

「もちろん、ラミル様のために力を貸すさ」

 その力強い言葉に、ラミルは深々と頭を下げた。

「お願いします、私にも何か手伝うことがあれば言ってください」

「まずは鎧を作るためにラミル様の体を測らせてください」

 サーはそういって紐のようなものを取り出すとラミルに立ち上がるように促し、肩、胸回り、胴の長さや頭の大きさなど、鎧を作るための寸法を取って炭を使って白い板に書いていく。

「これでよし、それでは明日の朝から早速作業にとりかかります、多くの水が必要になりますのでラミル様は近くの小川から水を汲むのを手伝ってください、では、今夜は休みましょう」

 2人の老人はそれぞれの家へ帰っていき、ラミルはサーの家の空き部屋の床に横になった。

(この鎧、どうしようか?)

(アルム王家の紋章も入っているし、とても大切な物だから王様に直接返そう)

(そうだな、他の町の状況も報告をしておいた方がいいだろうしキリアの祠にも行きたい)

(そうか祠か、忘れていたよ、王様は何も無いから言ってもしかたないと言っていたけど、近くまで戻るんだから行ってみよう)

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