第四章 7
家に入ると老婆はすぐに運んできた金貨を隠すために台所の方へ行き、ラミルは椅子に腰掛けて老婆が戻ってくるのを待った。
しばらくして老婆が飲み物を持って戻ってくると、椅子に腰掛けてラミルを見つめながら話しをはじめた。
「あなたたちがここに来る数日前にハサンという男が私に会いにやってきたの、ハサンのことは知っているわね」
「はい、ムーラが体を借りていると」
「ムーラ様はレミル様の術によって魂の復活をさせられたそうだけど、その話しはあなたも知っているだろうから良いとして、なぜムーラ様がここに来たかを話すわね」
そう言って、別の本を取り出した。
「私と死んだ夫はジゼルの末裔なの、特に夫は王家に仕えていた侍従の末裔で、これらの本などは夫の先祖がジゼルから持ってきた物らしいわ、私の先祖は普通の民だったみたいだけど」
「侍従ですか?それでこのような貴重な資料を島に隠していたのですね」
「そうなの、夫はいつの日かジゼルが復活した時のための資料として、これらを受け継いだらしいけど、子供がいない私たちにとっては受け継いでもらうことができないと諦めていたの」
「この町にはあなたの他にジゼルの末裔の方はいるのですか?」
「このウルトと、隣のシーバにはジゼルの末裔が多く住んでいるのよ」
ラミルは悲しそうな目をして俯いた。
「シーバが、シーバの人々は・・・シチラの者に全員殺されました」
「なんですって、あの3人をシーバで拾ったというのは・・・」
「あの子たちはシチラから逃げてきた子です、シーバが全滅させられるのを見てしまい・・・」
「なんということなの、なぜそのような酷いことが」
「実は・・・」
ラミルは、キリアの祠が襲われたこと、この近辺には現れないが、他の町や村の周辺では魔物に人々が襲われていること、そしてサントの村も何者かに全滅させられたことを老婆に話した。
「ムーラ様が少し話してくれたけど、そんなことになっているのね。シーバはジゼルの末裔によって作られた村なの、つまり全員がジゼルの末裔だったから、ジゼルの術が復活して、レミル様のような存在が現われることを恐れて襲われたのかもしれないわね」
「もしそうだとしたら、今度はここが襲われるかもしれないですね」
「ここはたぶん平気だと思うわ、シーバは昔からジゼルの末裔の住む町として知られていたし、ジゼルの独特な文化も残されていたから狙われたのでしょう。ここにはそういうものは無いから平気だと思う、ところであなたはレミル様の子孫なのでしょ?ムーラ様から聞きました。だからこそジゼルに伝わる呪術と、術者の石について書かれた本を渡さなければならないの、まずはあなたが持っている術者の石と腕輪をここに出してちょうだい」
ラミルは左腕から腕輪をはずし、袋の中から術者の石を出して机の上に置いた。




