第四章 5
(ラミル、また1人になっちゃったな)
(うん、でもさっきの戦いでロザイルの実力はわかったし、確かに僕も彼を守っている余裕はなかったからな、もしもムーラが現れず、もう少し僕たちが相手にてこずっていたらロザイルは今頃どうなっていたか・・・ムーラが鍛えてくれるというなら、きっと月の槍も使いこなせるようになって戻ってきてくれるさ)
(そうだな、それよりシーバが全滅したって言っていたよな、状況を見に行こう)
ラミルは急いで村の中心らしき広場に行ってみたが、家々は跡形もなく破壊され、いくつもの村人の骸が転がっている。
(なんて酷い・・・サントよりも無残だ、ザギルの奴、許せない)
(しかたない、ここで休息を取るのは危険だ、ウルトへ急ごう)
ラミルは村を出ようとはずれまで来た時、人の気配を感じて剣に手をかけた。
(誰かいる、こっちを見て隙を窺っているみたいだ)
(うん、2人、いや3人か・・・悪魔兵だとやっかいだな)
「隠れていないで出て来い、シチラの者どもなら相手になってやる」
人の気配は感じるが殺気は感じないし、なんの反応もない。
「シチラの者ではないのか?シーバの生き残りか?それなら私は味方だ、安心しろ、私は王宮の戦士ラミルだ、ウルトに向かう途中で寄っただけだ。シーバの生き残りならば危害は加えない出てこい」
すると、木の上に隠れていた男の子が降りてきて、岩陰に隠れていた2人の女の子の手を取ってラミルに近づいてきた、3人とも妹のレイラと同じくらいかそれよりも幼い感じだ。
「お前たち・・・3人だけか」
「あなたは本当に戦士様ですか?僕たちを殺したりしないですか?」
2人の女の子は今にも泣きそうなほどひどく怯えているため、ラミルは片膝をついて優しく微笑んだ。
「そんなことはしないから怖がらなくていいよ、それよりもどうやって生きていられたんだ」
「僕の名前はシール、こっちがアミで、下の妹がルル、僕たちはシチラに住んでいたんだけど、ガルディアが僕たちのお母さんを連れていってしまって、怖くなってここまで逃げてきて隠れていたんです、そしたら・・・」
「そうか・・・とても怖いものを見てしまったんだね」
「お父さんと、近所のおじちゃんたちが、この村のみんなを殺しちゃった」
2人の妹が泣き出し、兄のシールもそれを見て泣きそうになったが必死に堪えている。
「そうか、それは辛いものを見てしまったな、怖い思いをしたんだね」
ラミルは手を伸ばして3人を引き寄せて優しく抱きしめた。
「こんな危険な所に居てはいけない。一緒にウルトへ行こう、なんとか暮らせるようにウルトの人に頼んであげよう」
3人は頷くと、岩陰に隠してあったわずかな荷物を持ってラミルと共に村を後にした。
ラミルは3人の子供たちを交代で抱きかかえて移動した、すっかり暗くなってしまったが、少しでもシーバから離れようと闇夜の中も歩いた。
幸い魔物や悪魔兵に遭遇することもなく、休憩しながら次の夜になるまでなんとか歩いてシーバから離れると野宿できそうな岩陰を探した。
シールたち3人はラミルの持っていた干し肉を分けあって食べ終えると、ラミルの傍でウトウトしはじめた。
ラミルはマントを外して3人に掛けてやると、見守るように見つめた。
(ラミル、君も少し眠れよ、僕はそれほど疲れを感じることはないから、辺りを警戒しておく)
(健人、大丈夫なの?)
(ああ、まだウルトまでは何日もかかるはずだ、少しでも休めるときは休んだ方が良い)
(ありがとう、じゃあ、そうさせてもらうよ)
ラミルも横になって目を閉じた。
こうして野宿を繰り返し、7日ほどでようやくウルトに到着した。




