第四章 3
ラミルが目覚めると、ロザイルは槍術の本を読んでいた。
「おはよう、さっそく調べているんだね」
「気になったんだ、ムーラがどんな魔法を使ったのか、それがどんな力だったのか、でもやっぱり何も書かれていないんだ」
「そうか、でもいつか使えるようになると思うよ、僕がこの剣で術を使えるようになったみたいに何かきっかけがあるんだと思う」
「そうだね」
2人は支度を整えると、またシーバを目指して歩きはじめた。
途中で何度も休憩し、日が傾きかけた頃になってようやくシーバの入口が見えてきた。
「ようやく村が見えてきたみたいだ・・・あれ?でもなにか様子がおかしくないか?」
「入口に兵士らしき人影が見える」
村へ近付いていくと、入口の方から走ってきた6人の兵士に囲まれた。
甲冑を身に付けているが、アルムの兵士ではなさそうだ。
「おい、こいつバグロブのロザイルだ、こいつを倒せばガルディア様から褒美がもらえるぞ」
「こいつらシチラの奴らだ、まずい」
シチラの兵士たちが剣を抜くと、ロザイルも槍を構え、ラミルも剣に手をかけた。
(ラミル、こいつら人間の格好をしているけど何か変だ、催眠術か何かで操られているかも)
一斉に6人が攻撃してきた、ラミルも剣を抜いて応戦する。
「こっちはアルムの戦士だ、戦士を倒せば俺たちはもっと格が上がる」
ラミルは、催眠術なら気を失わせればと思って応戦していたが、兵士たちは不気味な笑みを浮かべながらジリジリと間合いをつめてくる。
(ラミル、こいつらは僕たちを殺す気できている、やらなければやられるぞ、油断するな)
ラミルは、相手の攻撃を避けながらロザイルに目をやった、ロザイルも3人の兵士に囲まれて防戦一方だが、まだ月の槍は何も反応を示していない。
(ロザイルは大丈夫かな?)
(僕たちにもそんな余裕はないぞ、まずは目の前の敵に集中しろ!)
自分の目の前にいる兵士の目を見ると、さっきは気付かなかったが異常なまでに瞳が赤く、目の周りはクマが出来ているように黒い、そしてその眼がさらに赤くなるにつれて動きが速くなってきている。
(こいつらやっぱりおかしい、もしやすでに魔物か悪魔兵にされているかも)
「ロザイル、こいつら人間じゃない、遠慮せずに斬れ!」
ラミルはロザイルに向かって叫ぶと、3人同時では簡単には倒せないと思い、間合いを取って1人ずつ倒そうと考えた。
(ラミル、俺たちはまずこいつらを片付ける、ロザイルの援護はその後だ)
(わかった)
2人の息が合って気持ちが1つになると、大地の剣が緑色に輝きを増した。
「ロザイル、しばらく耐えてくれ、まずこいつらを倒す」
だが、ロザイルからの返事はない。
ラミルの目の前にいる兵士たちは大地の剣の輝きに一瞬目を奪われた、ラミルはその隙をついて自分の間合いまで一気に踏み込むと、素早く、躊躇することなく剣先を兵士の鎧の隙間に突き刺した。
兵士はラミルの速さに全く反応出来ず、身動きすることも出来ないまま絶叫を上げた。
ラミルが剣を抜くと兵士は傷口を押さえるように前屈みになったので、今度はその首元に剣を振り下ろして倒すと、そのまま次の兵士に剣先を向けた。
「なんだ、こいつの動き、一瞬で見えなかったぞ」
残りの兵士は剣を身構えたまま身動き出来なくなっていた。
ラミルは2人を睨みつけたまま剣を中段に構えると、大地の剣の輝きが増してハルスの竜巻が現われた、兵士はますます驚いて動けなくなっている。
「よし、いくぞ、ハルス!」
ラミルが素早く剣を振り上げ、竜巻に驚いている兵士に向けて剣を振り降ろすと、今まで見たこともない大きな竜巻が2人の兵士を包み、以前のように竜巻に剣を振り下ろさなくても2人の兵士は跡形も無く消えてしまった。




