第四章 1
ラミルとロザイルは村を出たが、どこへ向かうか決めていなかった。
「ラミル、何も手掛かりが無いのに、どこへ行くつもりなんだい?」
「確かに手掛かりは何も無いけれど、ここに居ても何か手掛かりが見つかる訳でもない、とりあえず他の町や村に行けば何かわかるかもしれない」
「そんな悠長なことを言っていては・・・」
「僕がザハールを出たときは、ただ水の街へ行けということを聞いただけなんだ、そして途中の町や村でいろんなことを見たり聞いたりしてここへたどり着いた。最初は水の街がウルトだと思っていた勘違いもあったけど・・・そうだウルトに行ってみよう、もとはウルトを目指していたんだし、もしかしたら何かあるかもしれない」
「そんなことで大丈夫なのか?」
「他の神器を探すにしても、今は何の手掛かりが無いのだから行ってみるしかない、ところで、ウルトまではここからどのくらいかかるんだ?」
「そうだな、歩きだと10日ほどかかるかな、ウルトへ行く途中にシーバという村があるから、まずはそこに寄ってみようか、でもシチラにかなり近いところを通るから注意が必要だ」
「わかった、シチラに近づくのは注意しなきゃいけないけど、それにしてもシチラの近くは全くと言って良いほど魔物が出ないな」
「そうだね、サザルの東側では魔物が出ると聞いたこともあるし、実際に村人の中には魔物を見て慌てて逃げて帰ってきた者もいるけど、シチラ側にはほとんど出ないね」
「やはりシチラと、ガルディアと魔物、何か関係あるのかな」
ロザイルと会話しているラミルに健人が話しかけた。
(ラミル、僕には魔物が出るとか出ないとか、そんなことよりも気になることがあるんだけど)
(なんだい?)
(ロザイルは魔法とか呪術を使えるのかな?まあそれについては僕たちも剣の力に頼っているのだから使えるとは言えないけど、それよりも魔物と戦ったこと、真剣勝負のようなものとか、実戦経験とかってあるのかな?)
(ムーラの子孫と言っても人だから呪文は使えないかもしれないけど、実戦経験についてはどうだろう?)
(確かにバグロブでは無敵の槍の使い手と言われていたかもしれないけど、初めて会ったときの槍捌きでは魔物を相手にするのはかなり苦戦すると思うよ)
(未熟ってこと?)
(はっきり言ってそう思う、あの時は人間相手だから本気じゃなかった、ということを期待したいぐらいだな、もしあれが実力なら足手まといになる)
(でも、1人ではだめでも、僕たちみたいに2人なら戦えるってことも考えられるだろ)
(僕たちは2人で1人だから互いに援護することを考えなくて良いけど、もし強い相手が複数現れたらロザイルを援護する余裕は無いかもしれない、まあ、そのうち魔物に遭遇すれば実力はわかるとは思うけど)
「ラミル、どうした?急に黙ったりして」
「あ、いや何でもないよ、ところでシーバまではどのくらいあるの?」
「歩きだと3日位はかかるかな、シーバはウズルよりもシチラに近いからシーバに長く居るのも難しいかもしれないけど、シーバの近くも魔物は出ないと思うから野宿になっても良いよね?」
「魔物が出なければ平気だよ、まあ交替で仮眠すればなんとかなるだろう」
2人は魔物に遭遇することはほとんど無かったが、やはりシチラに近づいていくため、シチラの者たちに気付かれないようにすることに細心の注意を払った。




