第三章 28
ロザイルはバグロブに戻って町の皆に祖母であるエミルザを紹介すると、すぐに家の中に案内した。
エミルザはその夜、初めて会った孫に手料理を振る舞い、これからのことを話しあった。
「おばあちゃん、せっかくこうして会えたけれど、僕はまたウズルに戻ってラミルと行動を共にしなければならないんだ」
「戦士でもないお前がなんでなんだい」
「実は・・・」
エミルザは、話し始めようとしているロザイルの後ろに、見覚えのある本をみつけた。
「その本は・・・」
「これは父さんから貰った槍術の本だよ」
「それは私が、アシドが兵士になると言ってザハールに行くときに渡したものだよ。ちゃんとお前に受け継がれているんだね」
エミルザは持ってきた槍を袋から取り出した。
「ロザイル、これからラミル様と行動を共にするのなら、この槍を持っていきなさい」
ロザイルは槍を手にし、じっくりと眺めながら話しを聞いている。
「ロザイル、お前に話しておかなければならないことがあるの、お前はかつての聖戦士ムーラ様と同じ血を引く子なの」
「父さんがムーラ様の妹の子孫だったってことは、かあさんが死ぬ間際に聞いたよ」
「そう、聞いていたのね、それなら月の槍のことも知っているわね、ジラルには話さなかったけど、その槍が月の槍よ」
「これが月の槍?」
「1ヶ月ほど前の夜のこと、私が外で薪を割っていたら、私の目の前にこの槍が降ってきて、そして青白い光を放った。私も幼い頃に父親からムーラ様のこと、そして月の槍のことを聞いていたから、これが月の槍であるとすぐにわかったわ。でも誰かに見つかっては困るから家の中に隠しておいて、町を出るときに部屋に飾っておいた槍とすり替えて持ってきたの」
「おばあちゃん、ありがとう。さっきは詳しく話さなかったけど、僕とラミルは、この槍を探すためにシチラに行こうとしていたんだ」
「あのラミルって戦士は、いったい何者なの?信用して大丈夫なのかい?」
「ラミルは、あのレミル様の子孫だよ、凄く強くて頼りになる」
「あの子がレミル様の子孫だって・・・そう言えば青い瞳をしていたわね。そうだったの、ラミルとあなたが一緒に行動するのは運命なのね。わかったわ、ロザイル、この槍を持ってラミルと運命を共になさい、そしていつの日か必ずアシドの仇を討って帰ってきておくれ」
エミルザはしっかりとロザイルを抱きしめながら願いを託した。
翌日、ロザイルがエミルザを連れてウズルに戻ると、エミルザはラミルの目をじっとみつめて、その両手をしっかりと握り締めた。
「ラミル様、あなたのことは昨夜ロザイルから聞きました。ロザイルが持っている槍は、あなたたちが探していた槍です。力を合わせてこの世を救ってくださいね」
「はい、わかりました。敵の手に渡っていなくて良かった」
「ラミル、槍は手に入った。これから他の神器も探さなければならないだろうけど、一緒に力を合わせて探し出して悪魔を倒そうな」
「ロザイル、私はバグロブの家でお前の帰りを待っているからね。ラミル様、この子と共に無事に帰ってきてくださいね」
エミルザはそう言うと、もう一度ラミルとロザイルを強く抱きしめた。




