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Dark  作者: 赤岩実
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第三章 24

 ラミルはすぐに男たちが持っていた剣を集めて遠ざけておき、1人の男の頬を軽く叩いて目覚めさせた、男は恐怖に満ちた顔でラミルと近くにいたロザイルの顔をみつめる。

「ど、どうしたのでしょう・・・いったい何があったのですか?」

「何も覚えていないのですか?」

「男が手をかざして、身動きができなくなって・・・ロザイル様、他の者たちは無事ですか?」

「ああ大丈夫だ、気を失っているだけだ」

(これって催眠術みたいなものだな)

(催眠術?)

(うん、簡単に言えば寝ているような状態にして操ることさ)

(そんなことできるなんて・・・)

(別に特別なことじゃないよ、術のかけ方は魔法よりも簡単さ、僕の時代では病気の治療にも使われているし、正しく使えばなんてことない術さ)

「なにかの術をかけられたかもしれないが、たぶんもう平気だろう」

「ラミル、ザギルという男がみんなに魔法をかけたのか?」

「魔法かどうかはわからないけど、おそらく彼らを操って、村の人たちの警戒心が薄れたところを狙ったんだろうな、僕たちがいて良かった」

 気絶させた男たちを次々と起こしてやり、何か記憶に残っていないか尋ねたが、誰一人として覚えている者はいなかった。

「連れ去られてからそれほど時間は経っていないし、歩いて戻ってきたようだから、シチラまでは連れて行かれず、途中で術をかけられて戻されたんだろう。ラミル、とりあえず今夜はこの村に残って、しばらく様子を見るのを手伝ってくれないか?」

 2人はウズルの村長の家に泊まり、再び男たちが狂気に走ることが無いか確認することにした。

「ラミル、ところでどうやってシチラに入るのが良いかな?もしザギルという男が君を知っているなら難しいし、もし見つかって大勢に囲まれたら2人だけでは戦えないかもしれない」

「確かにそうだけど、まずは月の槍がシチラのどこにあるのかがわからなければ、それを探すだけで時間がかかってしまう。まさか街の家の中を1軒ずつ荒らしてまわるわけにもいかないし」

(ラミル、Darkやロザイルの持っている本に、何か手掛かりは出ていないか?)

「ちょっと本を見てみよう・・・何か出ているかもしれない」

 ラミルはDarkを、ロザイルは槍術の本を開いた、どちらの本にも何も現われていない。

「だめか・・・」

 その時、部屋のドアを叩く音がした。

「はい」

「ラミル様、お客さまが来ておりますが・・・」

「僕に客?誰だろう」

 ラミルは入口へ行き、客と言われた男の顔を見て驚いた。

「ジラルさん・・・どうしてあなたがここに?」

 そこには、アバブにいたジクーズの弟のジラルが立っていた。

「ラミル、薬を持ってきたよ、全ての毒に効く万能薬ができたんだ。エストに行ったら既にアンに向ったと聞いて、アンに着いたらもう次の町に出発したと・・・どうしても早く渡したくて追ってきたんだ」

「ありがとうございます。紹介します、彼はバグロブのロザイル、こちらの戦士はジラル様」

 ロザイルとジラルが握手を交しているとき、ラミルは何かを思い出したように切り出した。

「そうだ、ジラルさん、元衛兵だったザギルを知っていますか?」

「名前だけは、ザギルは僕よりも年上だけど、僕がアバブに戻ってから兵士になったから、一度も会ったことはないよ」

「そうか、それなら都合が良いな、ジラルさんに頼みがあるのです。アバブに急いで帰る必要が無ければ協力してほしいんです」

 聖戦士のことなどは詳しく話さなかったが、自分たちがシチラに行くことのできない事情を話し、シチラに入り込んで月の槍を探してほしいと頼んだ。

「わかった、ラミルの頼みじゃ断るわけにはいかないな、それにこれでも戦士だからな、盗まれた神器を探すことぐらい手伝うよ」

 3人はシチラに潜りこむ方法を相談した、そして夜が明ける頃になると用意された古着を来てジラルが村長の家から出てきた、どこから見ても商人にしか見えない。

「ジラルさん、作戦は昨日決めた通りで、僕たちはできるだけシチラに近づいて見つからない所に隠れているので、もしも何かあったらすぐに逃げてきてください。くれぐれもザギルには気をつけて、それから戦士であることは忘れてください」

「わかった」

「では、お願いします」

 ジラルは用意された馬に商人らしく荷物を積んでウズルを出ていくと、しばらくして、その後を追うようにラミルとロザイルもシチラに向かった。

 ジラルが町の入口に差し掛かると、2人の男に呼び止められた。

「お前、見ない顔だな、商人か?」

「はい、私はエストから来た商人でハースと申します」

 門番の2人はジラルの馬に積まれた荷物の中身を見て、怪しい物が無いことを確認した。

「よし、通って良いぞ、ただし言っておくが、ここではアルムの話をするなよ、殺されるぞ」

「は、はい、わかりました、ありがとうございます」

 ジラルは深々と頭を下げて、シチラの町の中心に向かって歩いていった。

「よし、あとはうまく月の槍を探し出してくれれば・・・」

 離れた岩場の陰に隠れ、ジラルが町に入るのを見届けたラミルとロザイルは成功を祈った。

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