第三章 22
周りの男たちは不思議そうな顔をしているが、ロザイルがラミルに“様”を付けて呼んでいるのを聞いて、敵ではないと思いはじめたようだ。
「村の者たちが大変失礼なことをしました、私が代わってお詫びします」
「もう良いですけど、なぜラミルだと?」
「その話しは後ほど、とりあえず私の家に来てください」
2人はバクロブにあるロザイルの家に向かった。
「このバクロブの町はサザル、ウズルの村と隣接しています、しかし、ウズルはシチラに近いため、度々シチラの男たちがやってきて村を荒らしていくのです。しかもシチラはアルムの一部でありながら、今やガルドの子孫であるガルディアが力を持ち、国の乗っ取りを計画しているという噂があるのです」
バクロブの町の者たちは、ロザイルと一緒に歩いているラミルを不思議そうな目で見た。
「もうすぐ私の家に着きます、一人で住んでいるので、あまり綺麗とは言えませんが・・・」
ロザイルの家に着くと、入ってすぐの小さなテーブルの置かれた部屋に案内された。
ロザイルは隣の部屋にいき、すぐに1冊の本を持って戻ってきた。
「ところでなぜ私のことを?」
「これを見てください、これは我が家に伝わる槍術の書なのですが、最後の頁です」
ラミルは本を手に取り、最後の頁を見て驚いた。
緑色に光輝く剣を持つ戦士、東より来る、その名はラミル
ロザイルよ、ラミルとともに行け
邪悪なる闇を斬り裂き、民を、未来を救うのじゃ
「自分の名前が書かれている、しかもこんな古い書物に」
「私がある日、槍術の鍛錬のために本を見ていると、この文字が現われたのです」
「そうですか、わかりました、あなたもこの世の未来を託された一人なのですね」
ラミルはそういうとDarkを取り出し、最後の頁を開いた。
さぁ、その扉を開けよ
邪悪なる闇を斬り裂き、民を、未来を救うのじゃ
「実は私の祖先に、聖戦士の1人、ムーラがいるのです」
「え?ムーラ?この本を書いたのもムーラです。でもムーラには子孫はいないと・・・」
「ムーラの妹が私の祖先です、ラミル様はムーラのことを詳しく知っているのですか?」
「そのラミル様ってやめていただけませんか?ラミルで良いです」
「しかし」
「私もロザイルと呼ばせてもらいますから、それから、実は私はレミルの子孫です」
「レミル様の、やはりその瞳は・・・」
今まであったことをロザイルに話した、シアドでムーラに会ったことも。
「そんなことがあるのですか?信じられませんが、でもこの本を見るとなんとなく信じられます」
しばらくロザイルはDarkに目を通すと、何かを理解したように頷いた。
「聖戦士の存在が少しだけ理解できたような気がします。私もこの文字を見た夜、夢の中で『水の街に行け、そこにお前を必要とする力が眠っている』という言葉を聞いたのです」
「あなたがムーラの子孫ということは月の力を持つもの、つまり『月の槍』」
「是非、一緒にシチラに行っていただけませんか?あなたは奴らに顔を知られていない」
「わかりました、是非一緒に行きましょう、そして月の槍を手に入れましょう」
2人は固い握手を交した、その時、外で男の叫び声が聞こえた。




