第三章 21
助けて、助けて、レミル、レミル・・・
またしても女性の助けを求める声で目が覚めた。
(今の声、なんか聞き覚えがある、いったい誰の声だろう)
(まさかレイラの身になにかあったんじゃ・・・)
(いや、レイラの声じゃない、でもお母さんの声でもないような・・・それにレミルって)
日が昇ると、昨日老婆に聞いた水の街シチラを目指してアンを出た。
(また新たな目標が見えたし、できるだけ早くシチラに着きたいから馬で行こう)
(そうだな、何かマントの代わりを貰えれば良いけど、兵士たちはみな甲冑だしな)
(バクロブは2つの村と隣接して大きいらしいから、そこで何かを調達するとしよう)
(そうだな、それにバグロブに入るには、この格好の方が、都合が良いかもしれないしね)
ラミルはバクロブを目指した。
日暮れ前にサザルの村に着くことができた、サザル村はウズル村と共にバクロブに隣接しているので、村ではあるが人通りも多い。
村の入口に大きな城壁は無く、村に入る際にも兵士に止められることは無かったが、入ってすぐに木や鉄でできた棒を持った村の男たちに囲まれた。
(まさか、既にここもガルドの子孫の支配下だったのか)
(わからない、でもこの人たちは魔物じゃないみたいだぞ、怪我をさせるわけにはいかない)
村人たちはラミルに何も言わずに突然襲いかかった。
ラミルはそのうちの1人を素手で殴って倒すと、男の持っていた木の棒を奪い、次々と襲ってくる男たちの手首を狙って持っている棒を全て叩き落とした。
「強い、お前は魔物の手先だな」
「ちょっと待ってください。なんですか、いきなり襲いかかってきて」
「うるさい、シチラから来たのだろう、戦士のマントを着ていても戦士の甲冑じゃない」
「私はザハールから来たラミルというものです。シチラに行こうと思っていますが、魔物の手先ではありません」
「ラミル?聞いたことないぞ、戦士にそのような名前の男はいないし若すぎる」
(またかよ、若いだけで戦士と思われないのは慣れたけど、魔物の手先っていうのが頭にくるな)
「この村に王宮の兵士か戦士はいないのですか?」
「バクロブのロザイル様がいれば、魔物などは恐れるにたりん」
すると、バグロブの方角から馬に乗って男がやってきた、年はラミルと変わらないようだ。
「おい、ロザイル様が来たぞ」
「そなたがシチラから来たものか、即刻立ち去れ」
「違うのですが・・・」
(人の話を聞けっていうんだよ、まったくこいつらは)
「ロザイル様、こいつかなり強いです、我々では勝ち目がありません」
「よし、それならば私が相手になろう、もしも出ていかないなら、この場で殺す」
(このやろう、良く見れば年もそれほど変わらないみたいなのに、ちょっと痛めつけてやるか)
(健人、だめだよ、こっちは戦士なんだから、怪我はさせられないよ)
「さあ、剣を抜け」
ロザイルは馬から降りて槍を構えた、ラミルは剣に手を置いたが抜かない。
ロザイルは槍を振り回して攻撃してきたが、ラミルは盾で避けながら様子を見ている。
「剣を抜かないのか、おのれ・・・馬鹿にしているつもりか」
「違うって言っているのに、なんでわからないんだよ」
ラミルは剣を抜いた、大地の剣が緑色に輝いているのを見て、男たちの目は釘付けになった。
「なんだ、あの剣、魔性の剣か」
だが、村人の反応とは反対に、大地の剣を見たロザイルは攻撃をやめた。
「あ、あなたは・・・もしやラミル様ですか」
「あ、はい、そうですけど」
「これは大変失礼いたしました、私はあなたをお待ちしておりました」
ロザイルはすぐに槍の先に皮の布を被せると、ラミルのもとに近づいてきた。




