第三章 16
今、健人が言っていたことは間違いではない、そこに気付いたのであれば、教えてやろう。
ラミル、お前は今まで剣の鍛錬を毎日欠かさず行い、その強靭な筋肉を身につけることで剣を自在に操れるようになった。
そして、健人と力を合わせて戦士になり、多くの困難を乗り越えてきたはずだ。
その頃は父の作った鋼の剣を使っていたし、呪文を使うことなど考えなかったはずだし、呪文の存在すら知らなかったはずだが、大地の剣を手にし、あの竜巻の力を知ったことで、その力に頼ってしまい、心が弱くなった。
(しかし、さっきの相手は今までよりも強力でしたし・・・)
ラミルだけでなく、健人も最初から相手のことを1度戦った相手と侮っていたではないか。
今までの戦いでは相手の動きをしっかりと見極めて倒してきたはずだが、さっきは自ら相手の懐に飛び込むように向かっていって戦おうとした、ここまで言えば健人にはわかるはずだ。
(その時点で冷静さを失っていた、自分の戦い方をしていなかったと言うことですね)
そうだ、そのため相手の動きが速く、強く感じて、さらに冷静さを失っていったわけだ。
戦いで求められるのは、冷静さと、強い心、それが無ければ力を呼び起こすことはできない、そして一番重要なのは、2人の気持ちを一つにすることだ。
(気持ちを一つにする?)
確かにラミルの体には、ラミルの心と健人の心、2人の心がいる、今までもそうだが2人で力と気持ちを合わせて戦うことが必要だ。
今までのこと、最初に竜巻を使った時のこと、そして今日のことをよく考えてみよ。
(確かに、いつでも僕はラミルの鍛えられた体と、僕の持っている知識を使って戦ってきた。兵士と戦ったときも、戦士になるための戦いも、始めて魔物と戦ったときも、そして初めて竜巻を使ったとき、2人ともねずみの大群に手をやいて、なんとか倒さないと、って思っていたな)
(うん、いつもどんな局面でも、自分たちの力でなんとかしよう、倒そうって思っていたよね)
(そして今日は・・・そうか、弾き飛ばされたとき、こんなところで負けてたまるか、倒すんだって思った、僕もラミルも、あの瞬間は全く竜巻の力には頼ってはいなかった)
そうだ、剣の力に頼りすぎてはならない。
2人の気持ちが一つとなり、自らの力で事態を打開しようとする力こそ、大地の剣の持つ力を呼び起こし、そして、太陽の剣に認められるために必要な力だ。
(そうか、前回よりも強力な竜巻になったのは、2人の気持ちがより強く一つになって、自らの力で戦う気持ちを思い出したからか)
そこまで理解したならば、あとは剣術の腕をさらに磨くことだ、良いな。
ちなみに、あの竜巻の呪文は「ハルス」と言う。
(ハルスか・・・でも呪文を覚えるよりも、まずは戦って力を付けないとだめだ、実戦で戦って腕を磨き、戦いの中でより2人の心を強く結べるようにならないと駄目なんだ)
疑問が解けると睡魔が襲ってきた、ラミルは久しぶりにぐっすり眠り、朝を迎えるとすぐにシアドへ向かった。




