第三章 13
アンに向かっていると、キリアと、セラムの山が見えた。
(右がキリアで左がセラムだな、セラムの山ってこんなに近かったんだ)
(ということは、あの山の向こうにジゼルって国があったんだな)
(おい、それより雨が降ってきそうな雲だな、アンはまだまだ先みたいだし、雨が強くなったらどこかで雨宿りしないと)
雲行きが急に怪しくなって、すぐに雨が降ってきたため雨宿りできそうな場所を探していると、小さな丘に祠のような穴を見つけたので馬を木陰に繋いで穴に入った。
穴の中は薄暗くてよく見えないが、どうやら奥は少し広くなっているようだ。
(なんの穴かな?獣の嫌な臭いはしないから、どうやら魔物はいなそうだけど)
(ちょっと奥へ行ってみようか?)
近くに落ちていた木に細かな枝を付けて松明を作り、それに火を点けて穴の奥を照らしてみると奥へと続く細い道が見えた。
灯りを頼りに足元に気をつけながら穴の奥へ進んでいくと、少し広めの部屋のような場所に出たので目を凝らしながら辺りを見てみると、奥には石でできた小さな箱が2つあり、その箱の上の壁には文字が彫られている。
共に戦いし戦士アキュア、バールここに眠る。 レミル、ムーラ
(うわあ、ここって聖戦士2人の墓?ということはあの箱は・・・)
突然、壁に付けられた燭台の蝋燭に明かりが灯った。
「うわあ、なんだよ、おい」
ラミルは思わず大声をあげた。
そんなに驚かんでもよい、よくぞ来た、選ばれし者よ。
「だ、誰?」
私の声を忘れたのか?
「えっ?そういえばDarkを読んでいた時に聞こえた声」
いかにも、今はまだ正体を明かすわけにはいかぬが、そなたたちの味方だ。
「なぜ、僕たちが選ばれたのですか?」
ラミル、そして健人よ、お前たちは私が選んだのではない、時が選んだのだ。
「時?」
そうだ、レミルたちが封印した悪魔を復活させようとする愚か者が現われ、聖なる壺を破壊するという過ちを犯した。
「悪魔は本当に壺に封印されていたのですか?」
そうだ、復活した悪魔は、その愚か者の体と心を乗っ取り、封印される前よりも強力な力を持つ魔王として完全復活の時を迎えようとしている。
「魔王、封印される前よりも強力な力・・・」
そしてもう一人の愚か者、歪んだ心を抱いて魔王と出会い、その魂を売って悪魔兵となった者がおる、その悪魔兵が森の主を殺し、お前の持っている大地の剣を奪おうとした。
「悪魔兵?やはり主を倒したのは人間じゃなかったのか」
急ぐのだ、ラミルと健人よ、己の力を覚醒させて悪魔兵と魔王を倒し、平和を取り戻すのだ。
「どうすれば、そんな強力な力を持つ魔王を倒せるのでしょうか?」
蝋燭は消え、返事は無かった。
「なんだよ、肝心なところなんだけど・・・しかたない、自分たちで探せってことね」
ラミルが入口まで戻ってみると雨はやんでいたので、再びシアドを目指して進みはじめた。




