第三章 12
聖戦士が悪魔を封印すると、民衆は直ちに2代目の王を追放し、ガルドに追放されていた弟が戻ってきて跡を継いだ。
しかし、3代目の王には跡継ぎとなる王子がいなかったため、レミルに自分の娘、すなわち王女と結婚して後継者となることを強く勧めたが、レミルにはジゼルに残してきた婚約者がいたらしく王の頼みを断ってジゼルへ帰っていったのじゃ。
その後、王には後継者となる王子が誕生してアルムは繁栄したが、レミルが戻っていったジゼルでは流行病が発生して多くの人が被害にあった、レミルも妻をその病で亡くしたそうじゃが、レミルとその女性の間には娘がいて、その子を連れてジゼルを出たレミルは、セラムを越えてアルムの北にあるシアドという村に移り住んだ。
シアドに住んでからも、自分が王国を救った聖戦士の一人だったということを誰にも話すことなく、娘と2人でひっそりと余生を過ごしたらしい。
シアドも今から20年ほど前に滅んでしまったが、今でもレミルが葬られたという墓は残されているらしいぞ。
話し終えると、老人はじっとラミルを見つめた。
(おいラミル、爺さんが早く金を出せって顔しているぞ)
「最後に一つだけ教えて欲しいんだけど、シアドの村があったところって遠いの?」
「歩きだと数日はかかるな、途中に町や村は無いから馬に乗って行くと良い、朝出れば夕方には着けるじゃろう」
「わかりました、お爺さんありがとう、これ約束のお金」
「おお、さすがは戦士様じゃ、嘘はつかんな、さて飲みに行こうかの」
10杯分の金を貰い、老人は喜んで酒場の方に歩いていった。
(あの爺さん、昼間っていうか、まだ朝なのに・・・もう飲みに行くのか?)
(まあ良いじゃない、今まで聞いたことも無いちょっと面白い話を聞けたし)
(でも本当なのかな?あの話)
(確かめに行ってみる?あの話が本当なら何か手掛かりになるものがあるかもしれないよ)
(どうせ何も手掛かりが無いんだから、騙されたと思って行ってみるのもいいかもな)
先ほどの女性が用事を済ませ戻ってきたので、シアドの近くに村は無いかと尋ねた。
「シアドを超えたところにアンという町があります、アンはセラム山で取れる鉱物のおかけで、とても裕福な町らしいのですが、私も行ったことはないので、よくわかりません」
「そうですか、どうもありがとうございました」
(馬を借りて行ってみよう、今すぐ出れば、夜にはアンに着けるかもしれない)
(そうだな、行ってみるか)
ラミルは兵士から馬を借りると、すぐさまエストの町を後にした。




