第三章 11
翌朝、目が覚めて窓を開けると、兵士が言っていたように町の雰囲気は一変し、人々が町の中を忙しそうに動き回り、今まで見たどの町よりも活気がある。
(凄い活気だな、せっかくだから町へ出てみよう、何か聞けるかもしれない)
町の人たちは皆忙しそうで話しかけられず、散歩しながら広場まで来ると、隅にある岩に腰をおろして人々の動く様子を眺めている老人がいた。
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
「なんだね?戦士さん」
「私はザハールから西へ向かって旅をしているのですが」
「ほう、そなたがラミル様かね」
「えっ?なんで知っているのですか?」
「さっき通りかかった兵士が話をしているのを聞いたんじゃ」
「そうですか、ところで、この町は活気がありますね」
「ここは昔から商人が多く集まる町だ、だが魔物が出るようになってからは人や物の往来も少なくなってしまった、それでもまだこの町にはいろいろな物が集まってくる」
「そうですか、ところでお爺さんはここで何をしているのですか?」
「儂か?お金を恵んでもらうのを待っておる」
「はあ?」
「なあ、戦士様ならお金をたくさん持っておるだろ、少し恵んでくれんかの」
(何言っているんだ、この爺さん)
「1杯で良いから酒を飲む金が欲しいんじゃ、恵んでくれたら良いことを教えてやろう」
(どうせたいした話じゃないだろうから相手にするな、ラミル行こう)
「なあ戦士様、頼みます、貧しい年寄りに・・・酒代を恵んでください」
近くを通りかかった女性が、慌てたようすでラミルのもとに駆け寄って来た。
「戦士様、その人を相手にしちゃだめですよ、聖戦士の本当の話を教えてやるとか言って、子供たちにまでお金を恵んで貰おうとするぐらいなんだから」
「聖戦士の本当の話?お爺さん、その話ってどういう話なの」
「聞きたいなら、金恵んでくれ」
(おい、行こうぜラミル、聞いても無駄だって、どうせまた御伽話みたいな話しだよ)
(でもちょっと興味があるよ、聞いてみようよ、ここは僕にまかせて)
(まったく、しょうがないなぁ)
「わかった、もしお爺さんの話が価値のある話だと思ったら、1杯とは言わず10杯分のお金を恵んであげるよ、だけどそうでなかったら1杯分だけっていうのはどう?」
「なに10杯だって、そりゃあ凄い、嘘じゃないだろうな」
「僕も王宮の戦士だから嘘はつかないよ、ちゃんとお金もあるし、あなたのような老人を騙しても得するわけじゃないから約束は守るよ」
(ラミル、そんなことして良いのか?)
(大丈夫だよ、10杯といってもたいした金額にはならないから)
呆れた顔で女性が立ち去っていくと、老人は話をはじめた。




