第三章 10
疲れた体を引きずるようにして暗い道を歩き続けてエストにたどり着くと、エストの町は人の気配をまるで感じないほど静まりかえっていた。
魔物が出るようになってからは町と町との人の往来は少なくなり、国王から夜の外出は控えるように達しも出ているため、どこの町でも活気が無くなってきているようだが、この町はほとんど人通りが無く、特に活気が無いように思える。
(ほとんど人の姿を見ないな)
(家の窓から灯りが漏れているから人はいるだろうけど、店はやっていない)
警備をしていた兵士に宿への道を聞いて向かっているが、どうやら迷ってしまったらしい。
(人がいないから道も聞けないよ、どこだろう)
たまたま兵士が通りかかったので道を聞いた。
「私も戻るのですが・・・あなた本当に戦士様ですか?」
(またかよ、いくら若くたって戦士だって・・・しかたない、あの手紙を出すか)
手紙を見せると兵士は慌てて丁寧な口調になり、宿へ案内されて王宮と同じように特別な扱いで個室に入ると、兵士が食事を持ってやって来た。
「先ほどは大変失礼いたしました。ラミル様の噂は聞いておりましたが、まさかこんなに若いとは思わなかったもので」
兵士は申し訳なさそうに照れ笑いしている。
「気にしないでください、カイルでもそうでしたし、たぶんこの先も同じでしょうから」
食事をしながら兵士と雑談をした。
「この町のいつもこんなに静かなのですか?」
「王様からの通達が出てからは夜の外出を控えているようです、というよりも店主たちが店を閉めてしまうので町に出ていてもしかたないのでしょう。しかし、昼間は活気がありますよ、明日になったら少し町を見ていらしたらよろしいかと思います」
ラミルが食事を済ますと兵士は後片付けをして部屋から出ていき、ラミルはベッドに横になった、それにしても窓の外も廊下や他の部屋からもほとんど声は聞こえない、静かだ。
(健人、今夜は何も無いと良いな、ゆっくり休みたいよ)
(あの竜巻を使った後は凄く疲れたよね、剣の力を使うと特に体力を消耗するみたいだ)
蝋燭の明かりを消すと、ラミルはすぐに深い眠りについた。




