第三章 9
アバブの男たちの力を借りて泉の側に主を埋葬すると、ジラルに馬でカイルまで送ってもらい、まとめておいた荷物を持って西に向けてすぐに出発した。
(森の主を倒した奴が、大地の剣を探していた)
(それにしても、僕と同じくらいの体の大きさで、あの大きな主を倒せるなんて)
(そんな奴が存在するなんて・・・でも魔物でもない主を殺すなんて許せないな)
(本当に一日も早く太陽の剣を探し出して、みんなの仇を討たなきゃ)
日が沈んで辺りが薄暗くなってきて遠くにエストの町の灯りがわずかに見えた頃、またしてもねずみの魔物の大群が襲ってきた、今までよりもはるかに数が多い。
「また出やがったな、これだけいると大変だぞ」
今までのように襲い掛かってくる魔物を盾で叩き落して剣でとどめをさす。
(これだけいるとキリが無いな、駆除薬も貰ってくれば良かった)
その時、健人が大地の剣の異変に気付いた。
(ラミル、剣先に小さな竜巻みたいのが出ているぞ)
(えっ、本当だ、なんだ、これ)
大地の剣の剣先を包み込むように小さな竜巻が渦巻いている、それを見たラミルは主が言っていた剣の力という言葉を思い出した。
ゆっくりとねずみの魔物に向って剣を振り上げると、その剣先の竜巻を振り払うように強く振り下ろした。
剣先の竜巻はゴォーという音とともに大きくなり、剣を振り降ろした先にいた数匹の魔物を包み込んで巻き上げ、そのまま宙に浮いた状態で身動き出来なくしている。
(凄いな、これなら全部動きを封じてしまえば楽に倒せるな)
(これで竜巻の中の魔物を切ったらどうなるんだ)
竜巻の中の魔物たち斬るように再び剣を振り下ろすと、動けなくなっていた魔物たちが竜巻の力で全て粉々に砕け散った。
(凄い、なんだ、この竜巻、とんでもない破壊力だ)
ラミルは同じようにして何度か竜巻を使って残りの魔物たちを全て倒した、しかし何故か盾で叩き落として戦ったとき以上に体力を消耗したようで、かなり体がだるく感じる。
ラミルは大きく肩で息をしながら剣を鞘におさめると、再び森の主の声が心の中に響いた。
ラミル、その竜巻こそ大地の剣が持つ力だ。
その剣は力を持たない者が持っても何も起こらないが、真の力を持つ者が手にするだけでその者の力を目覚めさせ、竜巻の呪文を使ったと同じ力を発揮すると言われている。
(呪文?ラミル、呪文なんて知っているか?)
(いや、そんなもの習ったことないぞ)
呪文については何も知らぬようだな、もしも呪文を知っていたとしても使えなかったはずだ。
そなたたちは剣に認められたが、まだ全ての力が目覚めたわけではない。
今は儂が少しだけ力を貸したが、もっと腕を磨いて力を引き出せるようになるのだ、そして剣に真の持ち主と認められたとき、より大きな竜巻を起こせるようになる、鍛錬を怠るな。
そなたたちが探している太陽の剣は、さらに強力な竜巻を起こす力があるらしい、しかし、大地の剣の力を引き出せることが出来なければ、より強力な力を使いこなすどころか、その技を出すことすら出来ないようだ。
私が教えられることはこれだけだ、鍛錬してさらに力を付けて太陽の剣を探し出し、より強力な力を身につけるのだ、わかったな。
(もっと剣の腕を磨いて、さらに呪文も覚えなければ悪魔とは戦えないのか・・・しかし、呪文っていったいどうやって、誰に教わるんだ)
(今は何もわからないけど、もしかしたら、それも探さなければいけないのかもしれないな)
2人は、少しだけ座って体を休めると、町の明かりを目指してまた歩き始めた。




