第三章 3
夕方前にアバブ村に着く予定だったが思わぬ魔物相手に時間がかかってしまい、辺りがすっかり暗くなった頃にようやく村の入口にたどり着いた。
(だいぶ遅くなってしまったな、今夜はこの村に泊るしかないかなぁ)
(よくわからないけど、とりあえず村には魔物は出てないみたいだから、大丈夫かもね)
マントを着けたラミルの姿を見て、同じように戦士のマントを着けた男が近寄ってきた。
「ラミル様ですね、お待ちしていました」
「僕がここに来ることを知っていたのですか?」
「いいえ、兄からラミル様の話を聞いておりましたので、お姿を見てすぐにわかりました」
「お兄さん?」
「はい、私はジクーズの弟でジラルと申します」
「ジクーズ様の弟さんですか、それは・・・どうもはじめまして」
「先日、兄から手紙を貰い、その手紙にラミル様のことが書かれていました、こんなに早くお会いできるとは光栄です、今日はもう暗くなってしまいましたので、カイルへは明日戻った方が良いでしょう、今夜は私の家にお泊りください」
ラミルはジラルの家で夜を明かすことになり、魔物に受けた傷の消毒と手当てをしてもらい、毒消しの薬の話を聞く。
「魔物の毒は、今わかっているだけで4種類あるようです」
「4種類もあるんですか?それだけ薬の種類が必要になるってことですか?」
「大きく分けて2種類なのですが、1つは痺れて徐々に動けなくなる程度のもので、これが一番多いらしいのですが、もう1つは主に蛇の魔物が持っている毒で、噛まれたまま薬を使わないでいると、わずか十数分のうちに痙攣を起こして死んでしまうようです」
「蛇の魔物ですか、まだ遭遇していないな」
「このあたりでは蛇の魔物と遭遇したという話は聞きません。昔からこの村の近くにはねずみが多かったので、ねずみの魔物が多いのですが、幸いなことにねずみの魔物は毒を持っていませんから、鋭い牙の攻撃を避ければ良いだけです」
「それにしてもジラルさんは詳しいですね」
「私と兄ジクーズはもともとこの村で生まれました。父は薬職人でしたし、アバブの周辺は色々な薬草が取れるので、村の人々は薬を作って王宮や各地の町や村に売って生活しています。もちろん私も戦士なので戦うことはありますが、今は魔物の毒について調べ、毒を消す薬を作ることに協力しているのです」
「なるほど。ところでその魔物の毒に対応した薬というのは、もう出来ているのですか?」
「色々と試しているようですが・・・明日、知り合いの薬職人のところに行ってみましょう」




