表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dark  作者: 赤岩実
42/166

第三章 1

 ラミルはザハールを出て、その日のうちにザハールの隣の隣にあるというエストの町に着くことを目標に、まずは隣のカイルに向かった。

(ウルトまではかなり距離があるって言っていたし、途中の町や村にも戦士や兵士がいるから、それぞれの場所で何か情報を収集できるだろう)

(でも、やっぱり不安だな、昨日はあんな話をしたけど、健人がいて本当に助かるよ)

(あははは、戦士様がなに情けないこと言っているんだよ。もう決めたことだし、まずは水の街で待っているって奴に会うまで頑張ろうよ)

 昼をわずかに過ぎた頃にカイルに着いた、カイルも高い城壁に囲まれている。

 門番の兵士は、戦士のマントを着けているが見たこともない顔で、自分よりも若いラミルを見て不思議そうな顔をしたが、それでも丁寧な言葉遣いでラミルに尋ねた。

「すみません、許可証をお見せいただきたいのですが」

(許可証?戦士なのにそんなのいるのか?貰ってこなかったよ)

(なんか袋に入ってないのかなぁ)

 侍従から渡された袋の中を調べてみると、お金の他に綺麗に丸められた布が入っていたので開いてみると、王様の直筆と思われる手紙のようなので、兵士に見せてみる。


 各地の戦士と兵士に告ぐ

  この者、アルム最強の戦士ラミルは、私の命により旅をしている。

  この者の旅を妨げてはならない。

  それぞれの町、村への出入りに全ての許可を与え、食事、宿を提供すること。

                          アルム国王 アルシード


 王様の名前の書かれた手紙を見た兵士は、驚いてすぐにその布を近くの戦士に見せに行き、慌ててラミルのもとに戻ってきた。

「し、失礼いたしました、ラミル様、どうぞお通りください」

 その手紙の布を返してもらって城壁の中に入ると、休憩中の兵士が町の中心を案内してくれた。

(凄いな、さすが王様、そういえば王様の名前はアルシードって言うんだな、初めて知った)

(ラミル・・・普通は王様の名前ぐらい知っているものじゃないの?)

(いいや、たぶんほとんどの人が知らないでしょ、学校で習わないし)

(習って知るものじゃないと思うんだけど・・・)

 健人はあらためてラミルの勉強嫌いを実感した。

(それにしても町や村に入るのに、その都度この手紙を見せないといけないのは面倒だな、まだザハールに戻れるし、許可証を貰って来た方が良いかな)

(大丈夫だろ、商人たちは王宮で許可証を貰ってなかったみたいだし、この兵士に後で聞いてみよう、たぶん次の町に入る許可証ぐらい貰えるよ)

 ラミルは兵士の案内でカイルの町を散策していたが、昼を過ぎていたので腹が減ってきた。

(健人、おなか減ったし、何か食べる場所を探そうよ)

(でも、さっきの手紙に食事も提供してくれるってあったよ)

(そうか、じゃさっそくご馳走になろうよ)

「兵士さん、すみません」

「はい、なんでしょうか?」

「いや、別に畏まらなくて良いんですけど、おなか減ったので、何か食べたいのですが」

「はい、かしこまりました、ご案内いたします」

(だから・・・硬いっていうんだよ、口調が・・・)

(健人・・・そう言うなって、兵士にとっては年下でも戦士は戦士、位は上なんだから)

(でもさ、なんか変な気分なんだよ、そういう階級社会っていうのに慣れてないから)

 兵士の用意してくれた食事を済ませたラミルは、案内役の兵士と別れて再び町を散策した。

(隣のエストまではどのくらいあるんだろう、やはり暗くなる前には着いておきたいな)

(とりあえずここまでは魔物には遭遇しなかったけど、さすがに夜は危険だろうし、野宿はもっと危険だからな、町に入れば宿も提供して貰えるみたいだから、出来る限り明るいうちに移動して、夜は町で寝る方が安全かもね)

(そうだね・・・ところで、シリムに行った時に遭遇した魔物の中に、毒を持っている魔物がいたよね、あの時は毒にやられることはなかったけど、毒消しのような薬があるなら用意しておいた方が良いのかな?)

(そっか、ザハールの町では毒消し薬についてはあまり耳にしなかったね、まだまだ必要な物とかもありそうだから、先を急がずに、まずはこの町で色々聞いてみようか、それに王宮では思いつかなかった物も、できるだけ揃えておこうよ)

 そう思いながら町の中を歩き回り、近くを歩いていた人に声をかけてみた。

「すみません」

「はい、なんでしょうか?」

「この町に薬を売っているお店はありますか?」

「どのような薬でしょう?」

「毒消しなんですけど」

「毒消し?なんの毒ですか?」

「魔物の毒なんですけど」

「魔物?魔物が出るって話は聞いたことがありますが、魔物の毒に効く薬なんて聞いたことが無いですね、たぶんこの町には無いと思いますよ」

「そうですか・・・」

「ここから南に行った所に、アバブという薬職人が多く住んでいる村があるのですが、そこなら作れるかもしれませんね」

(南か、少し遠回りになるけど、薬は手に入れておいた方が良いよな)

(そうだな、たぶん必要になると思う)

「アバブって遠いんですか?」

「馬ならすぐですけど、歩きでも、今から行けば夕方までには着けると思いますよ」

「そうですか、ザハールまで行くのとそれほど変わらないみたいですね、どうもありがとうございました」

 ラミルは急いでアバブへ向かうことにして、兵士に道を聞いてアバブへ入る許可証を貰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ