第二章 22
数日後、王宮の中庭で王様と王子だけでなく側近や戦士、そして多くの兵士たちが見守る中、ラミルとザギルの再戦が行われることとなった。
両者とも甲冑を着けて剣と盾を持って玉座に向かって跪くと王宮の中庭は大歓声に包まれ、王様は玉座から立ち上がり歓声が静まるのを待って言葉を発した。
「これより、衛兵ザギルと戦士ラミルの勝負を行う。この勝負は兵士試験ではないため真剣は使わぬが、兵士試験と同様に勝負の判定は私が行う」
二人は立ち上がると向かい合い、両者が剣を構えると同時に王様の声が響いた。
「はじめ」
合図とともに大歓声が起こった、ラミルは左手に盾を持ち右手一本で剣を持って構えている。
(いくら真剣じゃなくても、相手はザギルだから手を抜くと大怪我するぞ)
(わかっているよ、健人)
ラミルはもちろん真剣を使っていなかった、しかしザギルは侍従の目を盗んで用意しておいた真剣にすり替えてラミルを殺そうとしていた。
ザギルはラミルの剣が真剣ではないとわかっているため前回よりも積極的に間合いを詰めるように近づいてくるが、ラミルは一度勝った相手といっても衛兵として認められたザギルの実力は侮れないことはわかっているので慎重に間合いを取るために警戒しながら動いている。
ザギルは前の戦いと違い大振りすることなく鋭い先制攻撃を仕掛けると、ラミルもまずは冷静にその攻撃をかわした、ラミルも反撃とばかりに剣を振り下ろして対抗するがザギルもその動きに慣れたのか簡単に弾き返し、戦いは一進一退となって大歓声は静まり誰もが固唾を呑んで見守っている。
(さすがにこの前とは雰囲気が違うな、最初から本気で来ているようだし動きに無駄がない)
(でもラミル、何か感じないか?)
(圧倒するような迫力は感じるけど・・・)
(そうなんだけど、僕にはこの前以上のもの凄い殺気を感じるんだけど)
健人と会話していて、一瞬油断したラミルの頬をザギルの剣がかすめた。
(痛っ!真剣じゃなくても、切れるんだな)
(ラミル、何を馬鹿なこと言っているんだよ、あの剣は真剣だぞ)
(えっ?そんなはずは・・・)
(ザギルの奴、今ここで僕たちを殺そうとしているんだ、感じとった殺気は間違いじゃなくて、この戦いでどさくさに紛れて僕たちを殺そうとしている)
しかし、ザギルが真剣を持っていることに誰一人として気付いていない。
(まずいぞ、相手は本気だからな、油断していると本当に殺されるぞ)
ラミルの表情が変わった、もともと余裕などは無かったが本気で殺そうと迫ってくる相手に怪我をさせないようになんて考える余裕などない、一度大きく下がって間合いを取って態勢を立て直すと盾を捨てて中段に構えてザギルを睨みつけた。
(健人、まだ健人の真似事で倒せる自信がないよ、どうしよう)
ザギルもニヤリと不敵に笑って盾を投げ捨てた、どうやら次の一撃で仕留めにくるつもりだ。
(ラミル、次の一撃で決めるぞ、斬れない剣なら叩き殺すつもりでいく)
(しかし・・・でもしかたないよな、わかった、やらなければこっちがやられるもんな)
ザギルが構えを変えた、ラミルと同じように両手で剣を持って中段で構える。
(なにあれ、健人、頼むよ、同じように構えられたら、まだどう攻撃して良いかわからない)
(わかった、ザギルの野郎、真似しているつもりかもしれないけど相手があれなら得意なパターンだ、ここは僕に任せて)




