第二章 21
その頃、ジクーズたちはかなり苦戦していた、魔物の数は徐々に減ってはきていたが、それ以上に兵士は減り、恐怖のあまり残された兵士たちの士気も低下してしまっていた。
「みんな、頑張るんだ、残りはあとわずかだ!」
ジクーズら戦士が声をかけた、すでに防戦一方になってしまっていたが、そこへ先遣隊を助けたラミルが戻ってきた、ラミルは魔物に近づいてきて馬上で剣を構えると、飛び降りざまに一頭の大きな魔物を頭から一刀両断にすると、そのままの勢いで動きの遅い魔物たちの間を流れるように走り抜けながら倒していく、それを見た兵士たちはわずかに士気を取り戻し最後の力を振り絞って残りの魔物に対抗し、ようやく魔物たちを全滅させた。
多くの兵士が傷つき命を落とした、アルノの姿が見えないため近くを探してみると、魔物に右腕を喰いちぎられたのか、草むらに倒れて気を失っていた。
ジクーズたちは負傷したアルノを馬に乗せ、ラミルを先頭で警護させながら、傷ついた多くの兵士を連れてゆっくりとシリムへ向かい、夜明け前になってようやくシリムに到着した、幸いシリムの村が魔物に襲われた形跡はなく、先に到着していた7人の兵士たちがシリムの兵士と共にジクーズたちを迎えた。
ラミルに救われた7人の兵士たちは、まだ緊張しているのか険しい顔をして馬上から辺りを見渡しているラミルの姿を見つけると、英雄が現れたとばかりに大歓声を上げて近づいていった。
ジクーズが7人の兵士に話を聞くと、口を揃えたように金色の髪と輝く青い瞳のラミルを見たと言う、ラミルは伝説のレミル様の再来だ、命の恩人だと称えているのを聞いて、王様が言っていた“救世主”という言葉を思い出した。
ラミルは大量に浴びた魔物の血を洗い流してから用意された部屋で横になった、はじめての実戦で体は疲れているのに、まだ興奮が冷めないのか寝付くことが出来ない。
(ラミル、どうやらまだ興奮はおさまらないみたいだな)
(うん、健人の力を借りたとは言っても、魔物をあんなふうに一瞬で倒せるとは思ってなかったし、もしかしたら今なら悪魔も倒せるんじゃないかと・・・)
(それは無理じゃないかな・・・悪魔はもっと強いだろうし)
(でも先遣隊を襲った魔物と戦っている時、僕は健人とは違う力を感じたよ)
(それは僕も感じた、あの力は今までラミルから感じたことはないし、もしかしたらあれが選ばれし者の力かもしれないけど、まだまだ悪魔には勝てないと思う、だからこそ太陽の剣を探し出さなければならないんだと思うよ)
(そうだよな、まずは太陽の剣を探さないといけないんだよな)
健人と話して少し気持ちが落ち着いてきたのか、急に疲れが出て深い眠りに落ちていった。
夕方、シリムの守りを固めるために兵士の一部を残してジクーズたちは王宮へ戻っていった、その途中、魔物に襲われた辺りを通りかかると熊のような大きな動物たちと多くの兵士たちが転がっていて、鼻をつく強烈な血の臭いに少し気分が悪くなった、壮絶な戦いの跡を見て実戦の恐怖と自分が倒したという思いに体が震えた。
ラミルたちがザハールに戻ると、ラミルの活躍で多くの兵士が救われたという話がすぐに広まり、シリムへ出撃しなかった兵士たちもまだ幼いと思っていたラミルを戦士と認め、ラミル様と呼ぶようになり、未熟者と笑っていた戦士たちもラミルのことを認めざるを得なかったが、衛兵のザギルだけはその活躍を妬み、衛兵である自らの地位と名誉のためと言ってラミルとの再勝負を王に懇願し、王様は真剣を使わないことを条件に許可した。




