第二章 18
ラミルは晩餐会が終わると侍従に王宮内を案内してもらい書庫の前を通りかかった。
「ここには多くの書物が保管されています。王宮で生活する者の出入りは自由ですが、兵士たちは剣術の鍛錬のため、ここに来て本を読む者などほとんどいません」
「中を見たいのですが、よろしいでしょうか?」
「構いませんよ、それから、正式に戦士の称号を受けられたラミル様は、私よりも位が上になりますので、そのように丁寧な言葉でなくても結構です」
「そうなんですか?しかし皆さんは私より年上ですから」
その謙虚な態度のラミルに、侍従はにっこり微笑むと書庫のドアを開けて中へと誘い、ラミルに向かって頭を下げて侍従室へ戻っていった。
(まだ寝るには早いから、さっそく手がかりになりそうなものがあるか探してみよう)
「おいお前、ラミルとか言ったな」
戦士にだけ許されたマントを羽織った3人の男に声をかけられた。
「お前、王様の前であのザギルを倒したんだってな」
「俺はザギルに一度も勝ったことないんだが、いったいどんな手を使ったんだ?」
まるでラミルが卑怯な手を使って勝ったと言わんばかりの口調に少し頭にきた。
「さっきもそうだったが、王様にかなり気に入られているようだな、でも調子にのるなよ、書庫で本を読んでいる暇があるなら剣の手入れをして早く体を休めるんだな、明日から俺たちがみっちり鍛えてやるからよ」
「まあ、覚悟しておくんだな」
3人は笑いながら自分たちの部屋の方へ歩いていった。
(いやな感じだな、あんな挑発にのるなよ)
(僕は大丈夫だよ、それよりも健人の方こそ挑発に乗らないでくれよな)
(た、確かにそうだな、俺の方が先に熱くなるかもしれない・・・わかった、気をつける)
ラミルは書庫に入った、書庫と言っても大きな書棚が2つあるだけで、健人が知っている図書館のように本は多くはなく、中はとても薄暗くて埃臭い、蝋燭のわずかな明かりを頼りに本棚を見るときちんと整理された本が並んでいる。
(いろんな本が並んでいて、どれが目当ての本か探すだけでも大変だな)
(皆は鍛錬が忙しくて来ないんじゃなくて、この薄暗くて埃臭い部屋にいると具合悪くなりそうだから来ないんじゃないか)
2人はそれらしい本が並んでいる場所を見つけると、何冊かの本を取り出してみた。
薄暗いのでよくわからないが、どれも本というより日記のような文面で書かれている、恐らく王宮にいた侍従などのお付きの者が書き残した記録なのだろう、何冊か広げて見てようやくアルムの国が出来た頃からのことが書かれた本を見つけると、近くの椅子に腰掛けて燭台を近づけて読みはじめた。
最初は歴史の教科書に書かれていたことと同じような事柄が書かれている、初代王ガーズの出現からはじまり、教科書よりも詳しく初代王ガーズの功績について書かれていたが、しばらく読みすすめていき2代目となるガルドが誕生したところまで読んでいた時、突然廊下が慌しくなって数人の者が駆けていく足音が聞こえた。
「王様がお呼びだ、急いで王の間へ集まれ」
「戦士の方々は大至急集まってください」
(何か起こったのかな?健人、僕らも行かないと)
(そうだな、この続きはまた後にしよう)
本をそのままにして書庫を出ると、既に数人の戦士たちが王の間に向かって走っている、ラミルもその後を追って王の間へ走った。




