第二章 16
「ラミルよ、近くにまいれ」
「はい」
健人は剣を鞘におさめて玉座の前に跪いた。
「そなたの剣術はアルムの剣術ではないようだ、誰に学んだのじゃ」
「学校では、アルムの剣術しか学んでいません、この動きは・・・」
(ラミルだめだよ、言っちゃ)
「日々鍛錬していく中、自分で考え出したものです」
「そうか、それは素晴らしい、まだ幼いのに日々鍛錬して自らの術を編み出すとは」
王様は侍従の者を側に呼び寄せると、耳元に何かを囁くように伝えた。
「ラミル、もちろん試験には合格だ、衛兵に勝ったそなたを戦士として王宮に迎えよう」
ジクーズは耳を疑い、すかさず口をはさんだ。
「王様、いくらザギルに勝ったとは言え、まだ若いラミルを戦士としてお認めになるのですか?」
「ジクーズ、そなたも見たであろう、冷静に相手の動きを見て流れるような一撃で相手を仕留める腕前、しかもザギルに大怪我をさせないように剣を持ち替える余裕まで見せた。先ほどの状況でお前に同じことができるか?」
「し、しかし・・・・」
「ジクーズよ、儂はザギルの実力をよく知っておる。最初はいくら相手を見下して油断したとしても、それは実戦では命取りだ。それに奴も2度目は本気になったはずだ」
「確かにラミルの実力は私以上かもしれないと思っています。ですが、実戦経験もない者を戦士にすれば他の者に示しがつきません」
「この儂の目の前でザギルに勝った、それで十分ではないのか、兵士の中でザギルに勝てる者がいるだろうか?ということは兵士でラミルに勝てる者はいないのではないか?まして戦士の中でもザギルに勝てるものがどれほどいるか・・・」
ジクーズはその言葉に反論することはできなかった、それ程までにラミルは強いと感じていた。
「はい、仰せのとおりでございます」
「ラミル、もう一度申す、そなたに戦士の称号を与える、侍従の指示に従って支度を整えてまいれ、今宵、他の戦士たちに紹介する」
「はい、かしこまりました」
王様は玉座から立ち上がると奥の部屋へと姿を消した。
(やったぜ、ラミル、兵士じゃなくて戦士になっちまった)
ジクーズが近寄ってきてラミルに言った。
「王様にはまだ早いと言ったが、私もお前の実力は認めている、但し戦士となれば今までよりも鍛錬も厳しく、何よりも剣術だけでなく兵士を統率する能力が求められる、これからは他の戦士たちを見習って、それらの力も身につけていくのだ、良いな」
「はいわかりました、戦士になれたのは連れてきていただいたジクーズ様のお蔭です、ありがとうございます、戦士の称号をいただいても鍛錬を怠らずに頑張りますので、お願いいたします」
そう言ってジクーズに向かって深々と頭をさげると、その謙虚な態度にジクーズは驚いた。
「共にアルムのためにがんばろう、では侍従の者と用意をしてきなさい」
ジクーズはラミルの肩を軽く叩いて王の間から出ていった。




