表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dark  作者: 赤岩実
3/166

第一章 2

 家の周りを見渡した、あまりにも自分のいた時代と違うことに気付かされる、周囲の家々は教科書で見たような竪穴式住居ではないが、壁は大きな石が積み上げられただけのような造りで、もちろん道はアスファルトやコンクリートで舗装などされていないし、自動車どころか自転車すら走っていない、行き交う人々の服装といい建物の造りといい、いったい自分がどれだけ昔の世界にタイムスリップさせられてしまったのかと思うとますます不安になってくる。

 母親らしき女性に怒られまいと学校に行こうと思って外に出てはみたものの、どっちに行って良いのかわからない、ただ茫然と周りを見てレイラの手を握ったまま立ち尽くしていると、レイラは健人の顔を見上げ、不思議そうな目で見たあとでとても可愛らしい笑顔で微笑んだ。

「お兄ちゃん、どうしたの?早く行かないと先生に怒られちゃうよ」

 レイラが手を引いて歩き出してくれたおかげで行く方向がわかり、そのままゆっくり歩いて少しだけ広い通りに出ると同じ年頃の子供たちが歩いていくのが見えた、このまま同じ方向に歩いて行けば学校に着くのだろうと思った。

「おはよう、ラミル、レイラ」

 後ろから声をかけられて肩を軽く叩かれた。

「なんだ、ラミル、お前また寝坊したのかよ?頭の後ろに角が生えているぞ」

 そう言って後ろから来た2人の少年が笑っている。

「レイラ、お兄ちゃん格好悪いって言ったほうが良いぞ」

一人の少年が寝癖で跳ね上がったラミルの髪を触りながら言うと、レイラもそれを見て笑っている。

「なんだ、ジルとバルマか、おはよう」

 なぜかその2人の少年の名前が思い浮かんできて何事もなかったかのように呼んだ、さっきは混乱していたせいなのか、起こしに来た女性もレイラの名前も思い浮かばなかったのに、この2人の名前は思い浮かんだ、というより自然に声に出た。

そして少し冷静になって考えてみると父親の名前はラシンドで、さっきの赤茶色の髪をした女性が母親のクリシア、そして妹がレイラだということ、そして家にはいなかった父親の顔も頭に浮かんできた。

 それでもまだ詳しい状況をつかむことは困難で、とりあえずジルとバルマについていって隣町のワルムに入ってすぐのところにある学校らしき場所に着いた、校庭というより単に芝生というか雑草が短く刈られただけの広場のようなところに、家よりも少し頑丈そうな大きな小屋のような建物がいくつか並んでいる。

 先を歩いていく子供たちがそれぞれの小屋に入っていくのを見ているとそれが校舎、いや教室なのだろうと思い、そのまま歩いていくと一番手前の小屋の前でレイラが手を離した。

「お兄ちゃん、帰りも待っているからね」

 レイラはかわいい笑顔で手を振りながら小屋に入っていった。

 健人はレイラに手を振り返してジルとバルマと一緒に別の小屋に向って歩いていく、しかしどうみてもそれらの小屋は教室という感じではない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ