第二章 14
「なんだ、怖気づいたか?そっちがこないなら、こちらから行くぞ」
ザギルは大きく剣を振りかぶり躊躇なく振り降ろした、健人はすかさず下がって攻撃を避けると大きく息を吐いた。
(やはり真剣は迫力が違うな、それにこのザギルって人、本当に強い)
そんなこと言う健人だが、ラミルの心に伝わってくる健人の思いは弱気なんかじゃなく、むしろ強い人を相手にして、どこかワクワクしているのではないかと思った。
ザギルは続けざまに容赦なく襲いかかってきた、剣の振りや突きの速さ、力強さは兵士とは比べものにならないが、ザギルは体が大きいせいか、健人だけでなくラミルにも何となく次の動きが想像できるほどで、徐々に攻撃をかわして隙を伺えるようになった。
「どうした、ただ逃げ回っているだけでは勝てないぞ、かかってこい」
まだ健人は右下段に剣を構えていたが、ザギルが再び剣を大きく振り上げて振り降ろそうとした瞬間、健人は下段に構えた剣を跳ね上げてザギルの剣を弾き返すと、右脇を絞めて剣がザギルの鎧に当たらぬようにしながらザギルの右脇をすり抜けるように通り抜け、少し大きく下がって間合いをとり直すと中段に構え直した。
それを見ていた王はラミルの素早い動きに感心していたが、ジクーズは違った。
(ラミルが剣を当てないようにしていたようだが、もしあの剣が鎧の隙間に決まればザギルは腹を切られていた、それに、もしラミルが間合いを取らずにあのまま振り向きざまに切りつければ勝負は終わっていた)
ザギルは攻撃してこないラミルに向ってゆっくりと振り向いた。
(この小僧、自分から攻撃はしてこないが落ちついているな、こちらの動きを冷静に見ているようだ、そこだけは褒めてやっても良いな、でも攻めてこなければ勝てないことを教えてやるか)
再びザギルから攻撃を仕掛けた、兵士と違うところは決して攻撃が単調ではなく、ただやみくもに剣を大振りで振り回してくるような攻撃ではないことだ。
ラミルの額に汗が滲んできた、ザギルの攻撃にはわずかに殺気が感じられる、真剣を使っての勝負だから油断すれば大怪我どころか命に係わる、だからこそ健人の神経が異常なほどに研ぎ澄まされていくのをラミルは感じていた。




