第二章 12
玉座の前に、ジクーズとラミルが跪いている。
「王様、この者が先日話をしたラミルでございます」
「そうか、若いというより、まだ幼いではないか」
「はい。しかし、その身のこなし、剣の腕前とも既に一人前かと思われます」
王様は顔を上げたラミルをじっと見つめ、何やら考えている。
「それでは、今一度その腕前を見せてもらおう」
「王様、見習いとしてならば、私のもとで鍛錬させよと・・・」
「ラミルよ、そなたは母親やサントの者たちの仇を討ちたいと申したそうだな」
「はい」
「見習いでは出撃することはない、それではいつまでたっても仇は討てぬが、それでも良いか?」
ラミルは、黙ったまま王様の目を見つめた。
「王宮の兵士となれば敵と戦い、仇を討つことができるかもしれんが、兵士になるには儂が直接その腕前を見て決めるのが昔からの決まりだ、出来ぬなら兵士と認めるわけにはいかぬ」
(ラミル、やろうぜ、王様の言うように見習いじゃ意味が無い、ここはやるしかない)
「ラミルよ、今度はお前の持っているその剣で戦うのだ、負ければ怪我では済まないぞ」
ジクーズは考えているラミルを説得するつもりでラミルの顔を覗き込んだが、ラミルは強い眼差しで王様を見つめると、自信に満ちた声で答えた。
「わかりました、今すぐ戦えとおっしゃるのでしたら、今すぐでも構いません」
「ラミル・・・」
ジクーズはラミルのその力強い態度に、止めることが出来なかった。
「そうか、覚悟は出来ているということだな、では相手となる者を呼ぼう」
王様が2度手を叩くと、王の間の入口に立っている2人の衛兵が王様の前に来て跪いた。
「ラミルよ、そなたの相手はこの2人のうちのどちらかだ、選ぶがよい」
ジクーズは王様の言葉に耳を疑った、今まで兵士の試験で戦士や衛兵が相手をしたことなどなかった、衛兵は戦士と互角の力量を持つ者にしかなれないからだ。
「王様、兵士試験の相手は兵士のはず、衛兵相手ではいくら優れた力を持っていても無理です」
王様はジクーズを近くに呼ぶと、小さな声で耳打ちした。
「ジクーズよ、そなたはこの者の動きは戦士にも勝ると申したな」
「はい、確かにそう思いますが・・・・」
「ラミルの目を見たか、伝説のレミル様と同じ青い瞳をしておる、壺が壊されて悪魔が復活するようなことが起こるならば、神が救世主を遣わしたのかもしれん。この者が救世主であるならば衛兵にも負けるわけはない、儂はこの者が救世主であることを期待しておる」
「しかし・・・」
ラミルは王様とジクーズの話が気になっていたが、健人が語りかけた。
(ラミル、2人とも相当強そうだぞ、どちらを選んでもこの前のようにはいかないな)
(そうだね・・・)
(でも、ここまできたらやるしかない、衛兵だかなんだか知らないけど倒して兵士になろうぜ)
ラミルは二人の衛兵を見た、どちらも鋭い目でラミルを睨むように見ている。
(ラミル、右側の方が強そうだけど、どうする?)
(どっちも同じなら強そうな方だな、僕たちが本当に選ばれし者なら、2人で力を合わせればきっと勝てるさ)
(そうだな、それじゃあ右のいかつそうな方でいこうぜ)
ラミルは右側の衛兵に向かって頭をさげた、衛兵は王様にも一礼をして立ち上がった。




