第二章 11
ラシンドは、学校へ戻る道でラミルに訊ねた。
「ラミル、兵士と戦ったときの動きと剣の使い方は誰に教わったんだ、先生か?」
「いや、先生はあんな型は教えないよ」
「じゃあ誰に教わったんだ」
「うーん、偶然だよ、体が勝手に動いたって感じかな」
(あとで健人に聞いてみよう)
「偶然?あの動きが偶然だと?あの剣の捌き方は偶然に出来るものなんかじゃないぞ」
「剣術の授業で、いつも一番重い剣を使っていたから筋肉もついているし、それにさっき使った剣はいつもより軽いものを選んだから、それで少し速く動けただけだよ。それにあの兵士も鎧を付けていたから動きもそれほど速くなかったし、だから簡単に避けられただけだよ」
ラシンドには返す言葉が見つからなかった。
相手の兵士の動きは決して遅くはなかったし、兵士の中では力がある方だと感じていた、しかしラミルはその兵士相手に最後は首元に剣を突きつけて止める余裕まで見せつけた、自分の息子でありながら何かとてつもない力を持っているのかもしれないとあらためて思った。
学校に戻り、夜も更けてラシンドとレイラが眠りにつくと、ラミルは健人に話しかけた。
(健人・・・)
(ラミル、さっきはちょっと相手を挑発し過ぎたかな、ごめん)
(いや、気にしないでいいよ、ところであの動きは君が僕を操ったんだろうけど・・・)
(操ったなんて聞こえが悪いな、君の体を使わせてもらっただけだよ、あの動きは鍛えられた君の体だからこそできることさ)
(健人も剣術を習っていたの?)
(僕がいた世界、日本と言ってもわからないかもしれないけど、剣道と言う剣術があるんだ)
(剣道?)
(小さい頃から習っていたけど、剣道は剣術とは違うんだ、なんて言ったらいいかな)
(でも健人のおかけで王宮に行けるかもしれない、兵士になるための一歩を踏み出せたんじゃないかな)
(そうかもしれないけど・・・もし王宮に行けたとしてもすぐに仇討ちに行くことが出来るかは分からないけどな)
(うん、でも健人の言うように王宮に行ければ何か手掛かりがあるかもしれないし、そうなれば剣を探し出して、母さんや村の人々の仇を討てるかもしれない)
(そうだな、そうなるように2人で力を合わせてがんばろう)
3日後の朝、使いの者を迎えに来させると言っていたジクーズが自ら数人の兵士を連れてラミルを迎えにきた、校庭にはラシンドとレイラの他に先生やクラスの仲間たちが見送りに出て来ている。
レイラは寂しそうな顔をして最後までラミルにしがみ付いていたが、ラシンドがレイラを抱き上げて離すと、ラミルはレイラの頭を撫でて話した。
「レイラ、父さんの言うことを聞いて良い子にしているんだよ」
ラシンドは、空いている右手をラミルの肩に置いて笑顔を見せた。
「ラミル、いつの日か必ず元気な姿で帰ってくるんだぞ」
「はい」
元気な声で答え、見送りの人々に深々と頭をさげると、剣を背負って王宮へと向かった。




