第二章 7
その頃、教師たちとの話を終えて庭に出てきたジクーズは人垣の中で激しく剣がぶつかり合う音に驚いた。
急いでその人垣をかき分けて中に入ってみると兵士と子供が激しく戦っているのを見て慌てて止めようとしたが、よく見てみると責めているはずの兵士は剣を振り回して既に息が上がってきているのに対して、少年の表情には余裕があり相手の攻撃を冷静に見て反撃のチャンスを窺っているように感じた。
(あの少年、なかなかの腕前のようだ、まだ子供だが動きも良いし才能もある。なぜ兵士と剣を交えているかわからないが、いざとなれば止めることもできる、もう少し様子を見てみるか)
兵士の動きがさらに鈍ってくると、今度は健人がその隙を見て攻撃する機会が増えた。
健人の攻撃に少し動揺し、なんとか主導権を取ろうとさらに大振りになった兵士の攻撃を剣先だけで軽々と跳ね返すと、健人はラミルの柔らかい手首だけを使って右手一本で突きを繰り出してみた、その攻撃を兵士は下がって避けたてみせたが、少しよろけてから何とか態勢を整えて剣を構え直した。
その場にいた誰もがラミルのチャンスと思ったが、健人はそんな兵士の様子などまったく気にしていなかった、それよりもラミルの鍛えられた体が健人には想像以上だった、相手の兵士以上の太い腕にも関わらず、関節、そして筋肉の柔らかさ、動きの速さ、まるで自分の体のように、いや、それ以上の動きをすることに驚いていた。
健人は再び兵士を見た、剣を構えてはいるが攻撃してこない、健人が攻撃を仕掛けてこないため疲労を少しでも回復させようと息を整えながらこちらを見ていて、健人がじりじりと間合いを詰めると、それに合わせるように下がっていく。
健人はそれを見てもう一度突きを出してみようと考えた、今度は小手先だけの突きではなく勝負を決めるつもりで左足を一歩だけゆっくりと踏み出し、兵士が間合いを取ろうとして下がろうとした瞬間、健人は一気に右足を踏み込んで相手の間合いに入ると、右手に持った剣を兵士の顔めがけて突き出した。
その速さに兵士はまったく反応できなかった、健人は瞬間的に手首の角度を変えて兵士の顔に刃が当たらないようにして剣が顔すれすれをかすめると、健人はすぐに下がって距離を取って態勢を整えた。




