第二章 1
王宮内にある王の間に、門兵に支えられるようにしてキリア山の祠を警備していた兵士が傷だらけの体を引きずるようにして入って来た。
「王様、た、大変です。祠が・・・祠が襲われました」
「何だと、祠が襲われただと、何者だ、壷や神器はどうした、他の兵士たちはどうした」
「正体はわかりません、恐ろしく強い大勢の男たちに襲われて私以外の者は全滅です、壺は破壊されてしまい、神器も残されていません」
そう言って兵士は力尽きてその場に倒れ、慌てて門兵はその兵士を王の間から運び出した。
「恐ろしく強い男たちだと・・・」
別の兵士が慌てて入って来た。
「大変です、サントの方角に異変が発生しました」
「今度はサントか?まさか祠を襲った者たちの仕業か・・・直ちにサントを確認して報告しろ」
兵士は慌てて王の間から出ていった。
「なんということだ。壺が破壊されて悪魔が復活するというのか、どうすれば良いのだ」
想像が出来ない事態に、王は恐ろしくなった。
王宮の中だけでなく、キリアの祠やサントが襲われたことを知った人々は驚き、王宮の街ザハールでは慌ただしく王宮へ出入りする戦士や兵士を見て、遥か昔に封印された悪魔が復活して襲ってくるのだと噂する者まで現れた。
翌日の明け方になって、ようやくサントの状況を確認に行っていた兵士が戻ってきた。
「サントは全滅です。何者の仕業か全くわかりませんが、村の家々はとても人が破壊したとは思えないような状況で、人の気配が全く有りません。学校に通っていた子供たちや、ワルムで働いていた大人たちは全員無事で、今はワルムの学校に集まっています」
「そうか、生き残った者がいたのは幸いだ。緊急事態だ、すぐに戦士を招集しろ」
祠とサントが襲われたと聞いて、ザハールを警備する全ての戦士たちは既に王宮内に待機していたため、すぐに王の間に戦士と多くの兵士が集められた。
「皆の者、キリア山の祠が何者かに襲われた。あそこには聖なる壺と聖戦士が使っていた神器が祀られていたが、壺が破壊されて神器は持ち去られたと思われる。生きて戻って来た者の話では祠を襲ったのは恐ろしく強い男たちだったということだ」
「恐ろしく強い男たち?」
誰もが近隣の他国が攻めてきたのではないかと思った。
「そして、サントも同じ男たちと思われる者に襲われたようだ。家々が破壊された状況は、とても人が破壊したような状況ではないということだ、ジクーズは直ちに兵士を連れて祠とサントを詳しく調べろ、他の者たちはザハールの入口を固め、周辺の町や村の兵士も増員しろ」
戦士と兵士が慌ただしく王の間から出ていくと王様はうな垂れるように下を向いた。




