第一章 13
その日もラミルは昼休みに外には行かずに席に座ってぼんやりと考え事をしていると、突然目の前が真っ暗になり遠くで叫んでいる健人の声が響いてきた。
(大変だ、サントが・・・サントが襲われている。凄い力だ、もの凄い力を持った大勢の男たちがサントを襲っている。母さんが、村のみんなが危ない・・・)
(健人、健人、いったいどうしたんだ。サントがどうした?何があった?)
目が見えるようになってからも健人を呼び続けたが、返事は返ってこない。
その時、突然大きな地響きとともに、サント上空あたりが黒い煙のようなものに覆われた。
(あの煙が上がっているのはサントなのか?健人、教えてくれ、何が起こっているんだ)
ラミルは窓の近くに立ち、サントの上空を見つめ、祈るようにつぶやいた。
「母さん、大丈夫だよね・・・」
庭で遊んでいた子供たちが、大きな地響きと上空を覆う黒い雲に驚いて騒ぎはじめた。
小さな子供たちは恐怖で泣きだし、学校中がパニックになるとサントから通ってきている子供たちを村へ帰らせないために、教師たちが出口を封鎖した。
しばらくしてサントの上空が明るくなると、ラミルの耳に低い男の声が響いた。
全てはそなたに託された運命、太陽の剣を探し出し、闇と戦うのじゃ
周りを見渡してみたが誰もいない、これが健人の言っていた謎の声なのかと思った。
ラミルはその言葉の意味や誰の声なのかが気になったが、我に返り急いでレイラのいる小屋へ走った。
小屋の中にレイラの姿は無く、慌てて自分の小屋へ戻ろうと庭へ出てみると、ジルに手を繋がれて泣きながらレイラが立っているのが見えた。
「レイラ!」
ラミルは大声でレイラの名を叫んで駆け寄り抱き上げた。
「お兄ちゃん、怖いよ、お母さん大丈夫だよね、大丈夫だよね」
「大丈夫、きっと大丈夫だから」
レイラを安心させようと言いながらも自分に言い聞かせ、泣き出したい気持ちを堪えてレイラを抱きしめた。
徐々にワルムで働いているサントの男たちが学校の庭に集まってきた。
「ラミル、レイラ」
ラシンドが2人のもとに駆け寄ると、レイラはその足にしがみついてまた泣きだした。
「2人は無事だな・・・」
「うん、でも村が、母さんが」
「父さんも心配だ。これから村のみんなと話をするから、ラミル、レイラを頼むぞ」
ラミルがレイラを抱き上げて頷くと、ラシンドは庭に集まってきているサントの男たちの所へ走って行った。




