第一章 12
ラミルは家に戻って普段どおりに夕食を済ませると、すぐに部屋に入って健人に話しかけた。
(王宮かぁ・・・)
(確かに歴代の王様にも関係する話だから王宮には詳しく書かれた本が残っているかもしれないけど、僕たちが行って入れるのかな?)
(王宮に行ったことはないけど、たぶん無理だと思うよ)
(そうだよな、ところで気になったんだけど、今の王様は本に書いてある魔王の子孫なの?)
(それは違うと思うけど、よくわからないな)
(この本にも倒したとか死んだとは書かれていないし、その後の王様がどうなったかってことも興味あるな)
「ラミル、入るぞ」
ラシンドは、食事を済ませてすぐに部屋に入ってしまった息子のことが気になっていた。
「具合でも悪いのか?急に本を読んで遅くまで起きていたりしたから、どこか悪いのかと」
「大丈夫だよ、まあ、少し眠いけどね」
「そうか、それなら良いが、ところで聖戦士様のことはわかったのか?」
「うん、この本を全部読んでみたけど読み終わったら色々とわからないことも出てきた」
「そうか、何で急に聖戦士様に興味を持ったか知らんが勉強するのは良いことだな」
「ねえ父さん教えてほしいんだけど、歴史に出てくる2代目の王様ってどうなったの?」
「ガルド王か、父さんも追放されたと習ったが、その本には書かれていないのか?」
「うん・・・それから、今の王様ってこのガルド王の子孫なの?」
「それは違うらしい。レミル様がなったという話もあるが、ガルド王に追放されていた弟が戻ってきて王様になったという話もある、たぶん弟がなったという方が正しいだろうな」
「なんでそう思うの?」
「レミル様は金色の髪で青い瞳だったらしいが、王家に金色の髪で青い瞳の方はいないからな」
「そうか、弟が王様になったのか」
「もう遅いから、そろそろ寝なさい」
「待って、もう一つだけ教えて、父さんは王宮の兵士だったんでしょ、王宮には聖戦士様について書かれた本ってあった?」
「さあな、父さんはそこまで聖戦士様に興味を持ったこともないし、調べたこともないからな。でも、悪政の王とは言っても王家の人間だからな、何か書かれている本があるかもしれないな」
「そうか、ありがとう父さん、もう寝るよ、おやすみ」
ラミルがベッドに横になるとラシンドは蝋燭を消して部屋を出て行った。
(健人・・・やっぱりわからないことばかりだね、健人どうした?)
(あっ、ごめん。ところで本に書かれている、祠のあるキリア山って遠いの?)
(この村からなら王宮へ行くより近いけど、あそこは聖なる山とされているから、祠どころか山に入るにも王様の許可がいるはずだよ)
(祠もだめか、祠に行けば何か手掛かりがあるかもしれないと思ったんだけどな)
(明日また考えようよ)
(そうだね、おやすみ・・・)
その夜、ラミルは夢を見た、見たこともない塊の中に大勢の人がいて、その塊が動いている、人々の顔立ちも、身に着けている服も色鮮やかで、とてつもなく巨大な建物がいくつも並び、木々はほとんど無い、そして突然目の前に沢山の本が並んでいる景色に変わると、目の前に現われたのはDark、ラミルが見ている夢は健人がいた時代の景色のようだ。
翌朝、クリシアの声で目覚めると、体の中に健人の存在が感じられなかった。
そしていくら問いかけてみても返事が返ってこない日が数日続いたが、毎日あの巨大な建物と、最後に必ずDarkを手にする夢を見て目が覚めるのは、まだ体の中には健人がいる証だと思い、また話が出来るようになるまでに少しでも調べておこうと学校にある本をもう一度読んでみた。
やはりDarkより詳しく書かれている書物は無かったが、アルムの北にあるセラム山を越えたところに、昔はジゼルという国が存在していたことはわかった、しかしまだまだたくさんの謎が残っていた、Darkの作者はいったい誰なのか?本当に自分の先祖が書いたものなのか、自分と健人は剣の真の主となる英雄の末裔なのか、そして最後の頁に突然現われた謎の言葉の意味、これらの謎を解くには、まだまだ調べなければならないことがたくさんあると感じていた。




