第五章 10
いつものように兵士に足止めされることはなく町に入ることができたが、ロザイルが怪我をしたため町の医者を紹介してもらう。
「馬から落ちて腰を打ったのか?どうやら骨には異常が無いみたいだから、しばらく安静にしていると良い」
「しばらくって?」
「そうだな、最低でも2、3日と言ったところだな」
「2、3日か・・・ラミル、すまない」
「気にするな、それよりも2、3日程度で済んで良かった、あの毒にやられていたら命が危なかったかもしれないよ」
「そうだな」
「それじゃあ僕たちはとりあえず町を散策してくる、何かわかるかもしれないから」
「うん」
「早く良くなるといいわね」
ロザイルの顔がなぜか寂しそうで、対照的にナナの顔は嬉しそうだ。
(ロザイルは、ナナに惚れたみたいだな)
(おいおい、今度はロザイルか?)
(ナナは間違いなくラミルに惚れているよ、でもロザイルはナナに・・・複雑だなあ)
(そんなこと言っている場合じゃないだろ、数日ここに足止めだ、何か情報を集めないと)
(わかっているって、でも実は行ってみたいところがあるんだ)
(行ってみたいところ?)
(考えようによっては、このまま2人を置いていけばいいかなって)
(どこ?)
(セラムの祠だよ、それからジゼルの試練の間にも行きたい)
(そうか、あそこまで行くには、2人を連れていくのは危険かもしれないな、でもなんでセラムの祠へ?)
(偽物の腕輪があったし雷の石もあった、でも実はそれ以外のものもあったんじゃないかなと思っているんだ、もしかしたら壁が崩れるとか・・・だから、もう1度行って確かめたいんだよ)
(でもあの狭い穴の中には、他には何も無かったと思うけど)
(確かにそうだよ、でもいくら別々に隠すことで守ろうとした物だとしても、あまりばらばらに置いてあったのではいざというときに集めるのに大変だろ、だから少しだけ離れた場所とかに隠されているような気がするんだ、祠の外に他の隠し場所があるかもしれないし)
(そうか、確かに健人が言うこともわかる気がする、それにハンのことも気にはなる)
(よし、早速行こうぜ)
(明日の朝にしようよ、とりあえずロザイルやナナにも説明しないとまずいし)
(そうだな、わかった)
その夜、ロザイルとナナに事情を話した。
「私も行ってみたい、ジゼルって興味あるし」
「ごめんね、ナナ、いくら僕と一緒でも君はジゼルに入ることはできないんだ、そういう呪文がかけられているんだよ、ロザイルはわかるよな?」
「ああ、目の前に道があるのに、まったく前に進めないんだよ、不思議なもんだよ」
「でも・・・」
「それに、野宿をしないといけないかもしれないし大変だから、2人はロザイルの体調が良くなり次第アデルに移動していてくれないか?ナナ、ロザイルのこと頼む」
「わかったわよ・・・」
ナナは少し不機嫌そうな顔をしたが、ラミルに頼まれたので嫌とは言わなかった。




