第五章 9
「鞭を持つ仲間の手掛かりって何かあるの?」
「いいや、次の手掛かりはまだ何も無いよ」
「えっ?ラミルって計画性の無い人?」
「ナナ、そんなこと言うなよ。ラミルだって結構いろんな町で情報集めたりしてきたんだから」
「でも当てもなく行くっていうのは効率悪いよ」
「確かにそうかもしれない、だけどムーラからの情報を待っていてもしかたないし、自分たちで探して回らないと」
(ラミル、色々考えていたんだけど、残る腕輪と石は、やはりシアド周辺の祠とかに隠されているんじゃないかな)
(なんで?)
(戦いが終わって、それぞれの腕輪とか石を分散したかもしれないけど、わざわざこんな南の町や村、それから祠なんかに隠しに来たとは思えないんだよ。それに、あまり遠くに隠したとしたら、いざというときに集めるのに時間がかかり過ぎてしまうだろ、だから他の物があった場所から考えて、どうみてもあの周辺にあるような気がしてしかたないんだ)
(そうか・・・確かに健人の言う通りかもしれないけど他にどこか祠とかあるのかな?)
(それから、レミルがアーシャに贈った指輪の使い道がどうしてもわからない)
(あれはただのプレゼントなんじゃないかな)
(だとしたら何故、わざわざ呪文がかかったザハの祠の、しかも壁の奥に置かれた箱に入れられていたのか不思議じゃないか?)
(言われてみれば確かにそうだけど)
(きっとあの指輪にも何か意味がある気がする。もしかしたら、どこかの鍵かもしれない)
「どうしたのラミル、急に黙ったりして」
「あっ、いやごめん、別になんでもないよ、ちょっと考え事していたんだ」
「悩み事?それなら話してよ」
「悩み事じゃないけど、残りの腕輪と石のことなんだけど」
ラミルは健人と話していたことを2人に話した。
「なるほど、確かにラミルが思っているとおりかもしれないな」
「それじゃあジールではなく、北へ行ってみる?」
「いや、とりあえずジールにも行ってみよう、もうちょっと色々考えてみるよ」
アデル山の山裾から、アデル湖の湖畔に出でジールを目指した。
日が沈みかけた頃、ようやくジールの町が見えたとき突然ロザイルの乗っていた馬が暴れ、ロザイルが馬から振り落とされた。
「ロザイル、大丈夫か?」
ロザイルの足元に、小さな虫がいる、魔物のようだ。
ロザイルは立ち上がったが、落ちたときに腰を打ったようで動きが鈍い。
「ロザイル下がって、ウォルテア・・・」
ナナが魔物に向かって水の杖をかざして呪文を唱えると杖の先から水が出て魔物を包み込み、呼吸が出来なくなったのか魔物はもがき苦しんで動かなくなった。
すると突然ロザイルの乗っていた馬が倒れて泡を吹いて息絶えた。
「こんな虫のようなものまで毒を持っているのか?何の前触れもなかったな」
(こいつはサソリみたいだな・・・)
(サソリ?)
(うん、もともと猛毒を持っている昆虫の一種さ、ロザイルが刺されなくて良かった)
腰を強く打ったロザイルも少しは動けるようになったが、とても辛そうなのでラミルは馬を下り、ロザイルとナナの2人を乗せてラミルが馬を引いた。
「ラミル、すまない」
「しかたないよ、それよりも腰は平気かい?」
「うん、平気だとは思うけど、まだなんか足の先に力が入らない感じなんだ」
「もうすぐジールに着くから、そこで休もう」




