第五章 5
「じゃあ、その剣のためにもう1つの腕輪と石も必要なんだ、じゃあ炎の鞭の他にも、まだ色々探すものがあるってわけね。それに本にそんな文字が現われたり、とっくの昔に死んだ人の声が聞こえたりするなんて不思議ね、ちょっと信じられないけど私も会って話をしたんだし」
「ところで、杖について君が知っていることを話してくれないか」
「うん、私もあまり詳しくないの、ハサン・・・ムーラ様から聞いたけど私が水の杖の持つ力を使いこなせるってことだけ、なんでもその術は『ウォルト』と『ウォルテア』って言って、水の力で防御したり攻撃したりできるらしいんだ」
「そうか・・・」
ラミル、水の杖のありかがわかったぞ。
ラミルにはムーラの声が聞こえた。
タンナから東南東にある、アデル山の麓にスプラという村がある。
その奥に泉があり、大地の剣と同じように泉の中に隠されているようだ。
どうやらシチラの者たちも杖のありかを知って、必死に見つけようとしているから急げ。
「君はスプラって村に行ったことあるかい?」
「最近は行ってないけど、魔物が出る前は何度か行ったことがあるわよ」
「スプラの村の奥にあるという泉へも行ったことある?」
「泉のことは聞いたことはあるけど行ったことは無い、それがどうかしたの?」
「たった今ムーラが、水の杖はその泉にあるって教えてくれたんだ」
「スプラか・・・」
「あまり気乗りしていないみたいだね」
「私のおばあちゃんが住んでいるの、口うるさくて、女の子らしくしろとか」
(それは確かに言うかもしれないな、少しマシになったみたいだけど)
「でも君に行ってもらわないと意味が無いんだ、嫌かもしれないけど頼むよ」
ナナは嫌そうな顔をしていたが、ラミルの言うこともわかる。
「しかたないわね、わかったわ。それからナナって呼んでよ、君っていうのなんか変だから」
「そうか、じゃあナナ、スプラまではどのくらいかかるんだい?」
「歩きなら2日、馬で行けば半日くらいかな、ラミルたちはエストから来たんでしょ、だいたいエストに行くのと同じくらいだよ」
「そうか、じゃあ早速行こう、と言いたいところだけど、これからのこともあるしナナは家に行って旅の支度をしてきてほしいんだ。スプラに行った後にここに戻れるかどうかわからないから、両親に話をしてきた方がいいね」
「別に、親なんていない・・・死んじゃったんだ」
「ごめん、嫌なことを思い出させてしまって」
「両親はスプラのおばあちゃんの家から戻ってくる途中で魔物に襲われたの、だから私は魔物を倒したい」
「そうだったのか、僕も母親を殺された、だからナナの気持ちわかるよ」
「僕は父さんを殺された」
「みんな同じなんだ・・・わかった準備してくる」
ナナは自分の家に戻って行った。
「ラミル、なんでさっきナナのことを叩いたんだ?お前があんな言葉遣いしたのを始めて聞いたし、まさか女の子を叩くなんて思っても見なかったよ」
「確かに役立たずって言われて少し頭にきたけど、こっちが強いってことを見せないと駄目だと思ったんだ」
しばらくして、やや大きめの袋を2つ提げたナナが戻ってきた。
「ごめんね、ちょっと荷物多いかな?」
「女の子だから気持ちはわかるけど、必ず馬で移動できるとは限らないし、歩くことを考えると少し減らした方が良いかもな」
「そっか、でもとりあえずおばあちゃんの家まで持っていきたい、お父さんやお母さんの物とかがあるの、だから・・・」
「わかった、それなら問題ないよ、スプラまでは馬で行くから、ところで馬は乗れるよね?」
「乗ったことない・・・」
少し照れたように下を向いた。
「そうか、それじゃあ仕方ないな、僕の後ろに乗りなよ」
ラミルは、ナナを後ろに乗せてタンナを出た。




