第五章 4
翌朝、ラミルたちが広場に行ってみると、掛け声と思われる声が聞こえてきた。
「彼女だね」
ラミルはゆっくりと近づいて声をかけた。
「あの・・・ナナさんですか」
ナナは手を止めてラミルを睨みつけた。
「なんだよ、お前見たことの無い顔だね、その格好は兵士じゃないみたいだけど、何か用?」
「用があるから声を掛けたのですけど」
「今忙しいんだよ、どうせたいした用じゃないんだろ、邪魔だからどいていろよ」
ラミルは少し頭にきて、態度を変えた。
「おい、用があるから出向いて丁寧に話をしているのに、なんだ、その態度は?話を聞けよ」
「なんだと、お前・・・」
そう言ってラミルの腕を掴むと、すかさずラミルを投げ飛ばした。
「なんだよ、でかい図体して隙だらけだな、お前も兵士やめろよ、この役立たず」
ラミルはゆっくり起き上がると、ナナを睨みつけた。
「おい、誰に向かって言ってるんだ、調子に乗りやがって」
ロザイルはラミルの口調に驚いた。
「ラ、ラミル・・・お前がそんな言葉使うなんて」
「なんだと、この私に投げられた奴が偉そうに言うなよ」
再びラミルの腕を掴もうとした手を振り払い、ナナの胸倉を掴んで軽がると持ち上げた。
(健人、ちょっとやり過ぎだぞ)
(いいんだよ、こういう聞き分けのないのは、ちょっとお仕置きが必要なんだ)
「おろせ、馬鹿野郎、何しやがんだ」
「なんだ、軽いじゃないか、魔物相手に戦っているからって調子に乗るな、お前なんかよりも強い奴はいくらでもいるんだ」
そういってナナをおろすと、ナナはすぐに殴りかかってきた。
ラミルは軽々とナナの拳を数回避けてみせてから、思いっきり平手でナナの顔を叩いた。
衝撃が強くてナナはよろけ、今にも泣き出しそうな目でラミルを睨みつけた。
「お前、女の私を叩いたな、卑怯者・・・」
「卑怯でもなんでもない、君に用があると言っているのに話も聞かず、いきなり投げ飛ばす方が卑怯ではないのか?」
ナナは突然大粒の涙を流した。
「だって、魔物が出たって誰も助けてくれないじゃないか、あんた戦士なんだからなんとかしろよ、誰も何もしてくれないから自分でやるしかないんじゃないか」
「その魔物が出現した根源を叩き潰すために、僕は旅をしているんだ」
「おまえ・・・名前は?」
「僕はラミル、そしてこっちにいるのがロザイルだ」
「あ、あんたたちだったのか、あのハサンって爺さんが言っていた男たちは」
(どうやらムーラはナナとすでに接触していたようだな)
「ハサンって爺さんから、ラミルとロザイルという者が来るから共に戦えって」
「そうか、叩いたりしてすまなかった、あまりにも聞き分けがなかったから」
「本気で殴りやがって」
「なあ、その話し方なんとかならないか?男じゃないんだから」
「わかりました、これでいい?」
「そうだな、君が強いのはよくわかったよ、でも話し方くらい女の子らしくした方がいい」
(お、ラミル・・・かっこいいこと言うねぇ)
「あまり時間が無いから手短に話すけど、君は水の杖を探しているんだろ?」
「そうよ、でも何も手掛かりも無くて」
「君がアキュアの唯一の弟子の子孫で、一子相伝の技の使い手だということはハサンから聞いている。だからまずは3人で水の杖を探し出して4つ目の『炎の鞭』を探そう、そして4つの神器を使って悪魔を倒しに行く」
「ラミルって言ったよね、あの爺さんは強い2人が来るから力を貸してやってくれって言っていたけど本当に強いの?」
「少なくても、君がやっつけた兵士よりは強いと思うよ」
「ところで、今持っている剣が太陽の剣で、ロザイルが持っているのが月の槍なの?」
「ロザイルが持っているのは月の槍だけど、僕の持っているのは、まだ太陽の剣じゃない」
「まだ?」
ロザイルにも話していなかったので、剣と腕輪、そして石の関係を詳しく話した。
その他にも本のことや、ムーラのこともナナに説明した。




